企業による公害防止対策
初めは企業も行政も、住民さえも、コンビナートの操業によってこれほどの各種の公害が発生するとは予想していませんでした。
当初工場内や港湾内での労働者の作業環境もあまり重視されていなかったうえ、技術面でも未開発な部分が多く、これらを解決するためには公害防止設備に対するばく大な設備投資と高度な技術開発が必要でした。
四日市では、昭和41年に大協石油午起製油所がアメリカのガルフ・リサーチコーポレーション社と技術援助契約を組み、完成させた「重油間接脱硫装置」を設置しました。
また42年12月には、中部電力と三菱重工が通産省工業技術院から委託されて研究開発した排煙脱硫装置「活性酸化マンガン法脱硫パイロットランプ」を設置しました。
大協石油午起製油所が設置した重油間接脱硫装置は、硫黄分3%の重油を1.7%の低硫黄重油にできる能力を持つ装置です。この重油間接脱硫装置は43年に第1期工事が着手され、翌44年に稼動しました。
排煙脱硫装置については、昭和40年代の後半になると、主要なコンビナート企業において設置されるようになりました。
脱硫装置(重油間接脱硫装置)
排煙脱硫装置
排煙脱硫装置フローチャート
(写真提供:コスモ石油)
石灰石膏法排煙脱硫装置
(写真提供:三菱ケミカル(株))
ウェルマンロード法排煙脱硫装置
(写真提供:東ソー(株))
ばい煙処理の流れ
使用する燃料による違いがありますが、大規模な施設では、脱硝、集じん、脱硫装置を組み合わせたばい煙の処理が行われています。