まつりの流れ

鯨船行事次第

 
 鯨船行事の本番は、8月14日・15日ですが、この祭日は一般的な祖霊を祀る盆行事というわけではありません。戦前までは鳥出神社の例祭である9月23日の「ガニ祭り(蟹祭、神祭)」に行われておりました。
 戦前の富田地区は基本的に漁師町であり、その漁業形態は、盆まではアミアミ(網々)と呼ばれる5〜6人で船に乗り、シラスやコウナゴを獲る漁から、盆を境として40〜50人の漁師が従事して行われる、アグリ(巾着網)によるヒシコ(カタクチイワシ)漁に替わります。つまり、富田地区にとって、この時期は漁法が替わる漁閑期に当たりますのでこの時期の祭りが行われるようになったと考えられています。
 本番が近付くと7月末頃から、ハダシ(羽刺し)役の子どもたちやタイコタタキ(太鼓叩き)等の練習が始められます。組ごとに、浜や町内等で行われ、古老らが 所作や太鼓の叩き方の指導を行います。
 また、この間に本番に備えて張り子の鯨等の修理も行われます。
 鯨船には、ハダシとハダシを支えるコシモチ(腰持ち)とロコギ(櫓漕ぎ)、タイコタタキが乗り込み演技が行われます。張り子の鯨にはクジラカブリ(鯨被り)が入って演技をします。
 14日に町練りが行われます。町練りで最初に突く場所は組により異なりますが、祝儀突きと言って鯨船行事に寄付をした家の前で突いたり、役突きと言って自治会長や、ハダシ・ロコギ等を出した家でも突きます。
 15日の本練りでは鳥出神社の鳥居に外から1本突いてから境内に入り、境内では本殿と別社に1本ずつ鯨突きを奉納します(但し、古川町は本殿に1本のみ奉納します)。狭い町内での町練りよりも、広い神社境内での本練りの方が迫力があって 一番の見せ場です。