(2)人権行政の推進体制

 

@人権行政の推進体制

四日市市において、同和行政の推進は、同和対策事業と同和教育の両面から進められてきたが、人権に関する課題の広がりと深まりの中で、平成5(1993)年8月の本委員会答申に基づき、平成8(1996)年度に人権啓発センターが設置された。そして、法切れ後の平成14(2002)年度からは現在の体制である保健福祉部同和課、教育委員会人権・同和教育課、総務部人権センターを中心に、同和行政をはじめとする人権行政が推進されているところである。

しかしながら、3つの課にまたがる人権行政の取り組みは、複数の視点から人権行政を推進することができる反面、市民からみて役割分担がわかりにくいという指摘もある。

同和行政に関する特別措置法が失効した今も、残念ながら部落差別は完全には解消されていない現状から、今後とも同和行政を市政の重要な柱として改革・創設も念頭に入れた一般施策で推進していくとともに、同和問題解決のための施策を人権行政の一環として明確に位置付けて推進していく必要がある。

そのためには、同和問題解決をはじめとする様々な人権問題の解決に向けて、総合調整機能をさらに発揮させる必要があり、これまでの取り組みによって培われた成果を積極的に活用し、今後さらに同和行政をはじめとする人権行政の推進体制を強化するため、人権行政を統括する組織機構の新たな部の設置も視野に入れ、行政機構を再構築すべきである。

    また、四日市市において、一般施策として同和行政をより全庁的に推進していくために平成14(2002)年度から各部局に設置した「同和行政推進監」は、他都市に例を見ない先進的な取り組みであり、今後とも人権行政の重要な柱として同和行政を積極的に展開していくための大きな役割が期待されるところである。

    なお、人権行政の推進体制の強化と併せて、多様で複雑な新たな人権課題に対応し、施策を効率的に推進していくためには、行政の取り組みに加えてNPO等民間諸団体を含めた市民の自主的な活動が不可欠であり、官民の担うべき役割分担を明確にし、民間諸団体や市民との協働・連携を図る必要がある。

 

A四日市市同和対策委員会のあり方

    四日市市同和対策委員会は、「同和対策事業について適切な方策をたて、事業の達成を期すること」を目的とした市長の諮問機関として、昭和39(1964)年に「四日市市部落対策委員会」から発展改組し、これまでの四日市市における同和対策事業、同和行政の推進に関して審議を行い、答申や提言を行うなど、同和問題解決のための重要な役割を担ってきた。

    四日市市においては、同和問題にはなお解決すべき課題が残されており、同和行政は今後も積極的に推進していく必要があることから、これまでの市長の諮問機関としての役割に加え、広く同和問題解決のための重要事項について審議を行う機関へと脱皮、改組すべきであると考える。

    また、これまでの同和対策委員会は、課題が多分野にわたるあまり、各分野の専門家によって構成される委員の数が多くなり、効果的な審議に欠けるとの指摘があるほか、学識経験者の位置付けが不明確であるなどの課題もあることから、委員構成についても十分検討する必要がある。

 

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