○四日市市水道水源保護条例

平成17年6月28日

条例第56号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 地下水量の保全(第7条―第21条)

第3章 四日市市水道水源保護審査会(第22条―第26条)

第4章 罰則(第27条―第31条)

第5章 雑則(第32条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市の主たる水道水源の地下水が有限で市民共有の貴重な資源であり、かつ、公水であるとの認識に立って、公共の福祉のために優先的に水道水源を保護することにより、安全で良質な飲料水を将来にわたって安定的に確保し、市民の生活基盤を守ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 水道水源 水道水の原水となる地下水をいう。

(2) 地下水 水の循環系において、市域の地表面下にある水(温泉法(昭和23年法律第125号)第2条第1項に規定する温泉及び鉱業法(昭和25年法律第289号)第5条に規定する鉱業権に基づいて掘採する同法第3条第1項の可燃性ガスを溶存する地下水を除く。)をいう。

(3) 水源保護 水道水源の水質と水量を安定的に確保することをいう。

(4) 事業者 水道水源保護区域で許可を受けて揚水設備を設置している者及び工事前協議を行った地下埋設構造物を設置している者をいう。

(5) 水道水源保護区域 水道水源を保護するために必要な区域をいう。

(6) 集水部 井戸の底面(井底)又はその側面(側壁)に設けた集水孔、間げきをいう。

(7) 揚水設備 動力を用いて地下水を採取するための設備をいう。

(8) 地下埋設構造物 建築物等の地表面下の壁状又は柱状に類するものをいう。

(市の責務)

第3条 市長は、水道水源の保護に資する施策の推進に努めるものとする。

(市民等の責務)

第4条 市民及び事業者は、水道水源保護区域の水源保護に協力しなければならない。

(地下水量の監視)

第5条 市長は、水源保護のための地下水量の動向を把握するため、定期的な地下水調査を行うものとする。

(雨水の地下浸透の促進)

第6条 市長は、市域の道路の整備にあたっては、雨水を浸透させる技術の導入に努め、公共施設の敷地については、雨水の浸透性の促進に努めるものとする。

2 市域で地下水を採取している者は、その敷地内において、緑化及び雨水の浸透性の促進に努めなければならない。

第2章 地下水量の保全

(水道水源保護区域の指定等)

第7条 市長は、水道水源を保護するために必要があると認める区域を水道水源保護区域(以下「保護区域」という。)として指定するものとする。

2 市長は、前項の保護区域を指定しようとするときは、四日市市水道水源保護審査会に諮問するものとする。

3 市長は、第1項の規定により保護区域を指定したときは、その旨を告示するものとする。

4 前2項の規定は、保護区域を変更し、又は指定を解除しようとする場合について準用する。

(許可等)

第8条 保護区域内において、揚水設備(河川法(昭和39年法律第167号)が適用され、又は準用される河川の河川区域内のもの、家庭の用に供しようとするもの及び構造物の設置工事等に係る地下水排除を目的とするものを除く。)の設置又は変更の行為を行おうとする者は、市長の許可を受けなければならない。

2 前項の保護区域内において、別に定める深さの地下埋設構造物の設置又は変更の行為を行おうとする者は、あらかじめ水道水源の水位、水量及び地下水流動への影響を回避及び軽減するための工事前協議を市長としなければならない。

3 前2項の規定は、国の機関又は地方公共団体が災害復旧のために緊急を要する措置として行う場合には適用しない。

(許可申請の手続等)

第9条 保護区域内において、前条第1項の許可を受けようとする者は、あらかじめ、許可申請書を市長に提出しなければならない。

2 市長は、許可申請書を受理したときは、第10条第2項各号に規定するものを除き、四日市市水道水源保護審査会に許可の適否を諮問するものとする。

3 市長は、前項の許可申請書を受理した日から起算して60日以内に許可又は不許可の決定をするものとする。

4 市長は、前項の許可の決定に際し、条件を付することができる。

5 市長は、許可又は不許可の決定をしたときは、申請者に対し、通知するものとする。この場合において、不許可の決定をしたときは、その理由を明記するものとする。

(許可要件)

第10条 市長は、前条第1項の許可の申請があった場合においては、当該申請の内容が、次の各号のすべてに該当するときでなければ許可をしないものとする。

(1) 井戸の集水部の位置及び揚水設備の吐出口の断面積の合計が、別に定める基準に適合していること。

(2) 当該申請に係る揚水設備による総揚水量が別に定める揚水量以下であること。

(3) 四日市市水道水源保護審査会において、水道水源の水位、水量及び地下水流動に影響を及ぼす蓋然性が低いとされたとき。

2 市長は、前項の規定にかかわらず次の各号に定める用途等に供する場合については、許可をすることができる。

(1) 上水道事業

(2) 農業用水

(3) 醸造業

(4) 用途上、他の水源をもってその地下水に替えることが困難であると市長が認めたもの

(5) 防火その他の保安の用途で非常用に限るもの

(6) 公益上、やむを得ないと市長が認めたもの

(経過措置)

第11条 第7条第3項の規定による保護区域の指定の告示の際、当該保護区域内において現に揚水設備(設置の工事中のものを含む。)を設置している者は、当該揚水設備について第8条第1項の許可を受けたものとみなす。

2 前項に規定する者は、許可を受けた揚水設備となった日から60日以内に、当該揚水設備について市長に届け出なければならない。

(変更の行為の内容)

第12条 第8条第1項に規定する変更の行為の内容は、揚水設備の設置の許可を受けた者(前条第1項の規定により許可を受けたものとみなされる者を含む。以下同じ。)が、次の各号のいずれかを変更しようとすることをいう。ただし、当該変更により、第2号から第3号までに掲げる事項の規模が増大しない場合は、この限りでない。

(1) 井戸の集水部の位置

(2) 揚水設備の吐出口の数と断面積の合計

(3) 揚水設備の一日当たりの揚水量

2 前項ただし書の変更をしようとする者は、あらかじめ、市長に届け出なければならない。

(工事の完成届等)

第13条 第8条第1項の許可を受けた者は、当該許可に係る工事が完成したときは、市長に届け出なければならない。

2 前項の規定による届出をした者は、当該揚水設備が申請に基づいた施設であるかどうか及び第9条第4項の規定により許可に付けられた条件に適合するかどうかについて、市長の確認を受けた後でなければ、当該揚水設備を使用してはならない。

(氏名の変更等の届出)

第14条 第8条第1項の許可を受けた者は、申請書の氏名、名称、住所及び所在地のいずれかに変更があったとき又は当該揚水設備を廃止したときは、変更又は廃止のあった日から30日以内に市長に届け出なければならない。

(許可の失効)

第15条 第8条第1項の許可を受けた者が、当該揚水設備を廃止したときは、当該揚水設備に係る許可は、その効力を失う。

(承継)

第16条 第8条第1項の許可を受けた者から当該揚水設備を譲り受け、相続(法人における合併又は分割を含む。)し、又は借り受けた者は、当該揚水設備に係る許可を受けた者の地位を承継する。

2 前項の規定により第8条第1項の許可を受けた者の地位を承継した者は、当該承継のあった日から30日以内に市長に届け出なければならない。

(指導又は勧告)

第17条 市長は、この条例を施行するために必要があると認めるときは、第8条第1項の許可を受けた者に対し、地下水量の保全に関して指導又は勧告をすることができる。

(措置命令等)

第18条 市長は、第8条第1項の許可を受けないで揚水設備の設置又は変更の行為を行った者に対して当該揚水設備の使用禁止及び必要な措置を命ずることができる。

2 市長は、第8条第1項の許可を受けた者が、第9条第4項の規定により許可に付けられた条件に違反したときは、その者に対して、当該揚水設備の使用禁止及び必要な措置を命じることができる。

3 市長は、第8条第1項の許可を受けた者が、次の各号のいずれかに該当するときは、当該許可を取り消すことができる。

(1) 虚偽又は不正な方法により許可を受けたとき。

(2) 許可を受けた日から起算して1年を経過した日までにその行為に着手しないとき。

(3) 前2項の規定により命じた措置を定められた期間内に講ぜず、又は使用を停止しないとき。

4 市長は、前項の規定により、許可を取り消した場合において、その許可の取り消しを受けた者に対し、必要な措置を命じることができる。

(地下水の利用制限等)

第19条 市長は、異常気象等による水道水源の水質の悪化及び水位の著しい低下を防止するため、特に必要があると認めるときは、第8条第1項の許可を受けた者に対し、揚水設備の使用を禁止し、又は揚水量の削減を命じることができる。

2 許可を受けた揚水設備で地下水を採取する者は、地下水を合理的かつ適正に使用することにより、揚水量の削減に努めなければならない。

(揚水量の測定)

第20条 第8条第1項の許可を受けた者(第11条第1項の規定により許可を受けたものとみなされる揚水設備を除く。)が、当該揚水設備を用いて地下水を採取する場合は、水量測定器を設置して地下水の揚水量を測定し、その結果を市長に報告しなければならない。

(立入調査等)

第21条 市長は、この条例の施行に関して必要な限度において、その職員に第8条第1項の許可を受けた者の土地に立ち入って当該揚水設備に係る施設若しくは帳簿、書類その他の物件を調査し、又はその者に対し指示若しくは指導を行わせることができる。

2 前項の規定により立ち入り調査をする者は、職員の身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示するものとする。

3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第3章 四日市市水道水源保護審査会

(四日市市水道水源保護審査会の設置)

第22条 第7条第2項及び第9条第2項の規定による諮問に応じるため、四日市市水道水源保護審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

(組織)

第23条 審査会は、委員7名以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱し、又は任命する。

(1) 学識経験者

(2) 消費者

(3) 商工業関係者

(4) 上下水道局職員

(5) その他市長が必要と認めた者

(委員の任期)

第24条 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

2 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長及び副会長)

第25条 審査会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選によりこれを定めるものとする。

2 会長は、会務を総理し、審査会を代表するものとする。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故あるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議等)

第26条 審査会の会議は、市長が必要に応じて会長に開催を要請し、会長が招集する。

2 審査会の会議は、会長が議長となる。

3 審査会は、委員の半数以上の出席がなければ会議を開くことができない。

4 審査会の議事は、出席した委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

5 審査会の庶務は、上下水道局経営企画課において処理する。

第4章 罰則

(罰則)

第27条 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。

(1) 第18条第1項の規定による命令に違反した者

(2) 第18条第4項の規定による命令に違反した者

第28条 次の各号のいずれかに該当する者は、20万円以下の罰金に処する。

(1) 第18条第2項の規定による命令に違反した者

(2) 第19条第1項の規定による命令に違反した者

第29条 第21条第1項の立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、10万円以下の罰金に処する。

(両罰規定)

第30条 法人の代表者又は法人、人の代理人、若しくは使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第27条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

第31条 次の各号のいずれかに該当するものは、5万円以下の過料に処する。

(1) 第8条第2項の規定による工事前協議をしない者又は忌避した者

(2) 第11条第2項第13条第1項第14条又は第16条第2項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

(3) 第20条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

第5章 雑則

(委任)

第32条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関して必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年1月1日から施行する。ただし、第7条第22条から第26条までの規定及び次項は、公布の日から施行する。

(四日市市委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 四日市市委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正(昭和31年四日市市条例第23号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

四日市市水道水源保護条例

平成17年6月28日 条例第56号

(平成18年1月1日施行)

体系情報
第15類 公営企業/第1章 上下水道事業
沿革情報
平成17年6月28日 条例第56号