○四日市市環境基本条例

平成7年3月30日

条例第12号

目次

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策(第7条―第17条)

附則

わたしたちのまち、四日市は、西に緑豊かな鈴鹿山脈、東に恵み豊かな伊勢湾という自然に育まれ、東海道の宿場町として、古くから栄えてきた。

また、我が国有数の工業都市として、我が国の発展に寄与してきたが、その過程で四日市公害という悲惨な経験をし、貴い教訓を得ている。

一方、わたしたちが生活の利便性や豊かさを追求するあまり、わたしたちのまちのみならず、地球的規模での環境の汚染や自然の破壊がもたらされつつある。

わたしたちはすべて、良好な環境を享受し、健康で文化的な生活を営む権利を有しているとともに、こうした良好な環境を保全し将来の市民へ引き継ぐ責務を負っている。

貴い教訓を礎として、すべての者の参加と協調により、人と自然が共生できるまちづくり、環境への負荷の少ないまちづくり及び地球的な視野に立った取組ができるまちづくりを推進することがわたしたちの使命である。

ここに、わたしたちは、この使命を深く自覚し、市民の総意として、本市の良好な環境の保全と創造に向けて、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の保全及び創造に関し、環境基本法(平成5年法律第91号)の精神にのっとり、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務並びに基本方針を明らかにするとともに、基本方針に基づく施策を総合的かつ計画的に推進することにより、現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保及び福祉の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

2 この条例において「良好な環境」とは、土地利用、人口等の社会環境と動植物等の自然環境との調和によって生ずる快適性、利便性、安全性等に優れた質の高い環境をいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全及び創造は、わたしたちの存在基盤であり、かつ有限である恵み豊かな自然環境を、現在及び将来の市民が享受できるよう、行われなければならない。

2 良好な環境の保全及び創造は、すべての者の積極的な取組みと参加により、環境への負荷の低減並びに持続的発展が可能なまちづくりを目指して、行われなければならない。

3 良好な環境の保全及び創造は、本市の優れた環境保全技術の活用など地球的視野に立った取組により、人類共通の課題である地球環境の保全に資するよう、行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、各種施策を進めるに当たり、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)をその基底として、良好な環境の保全及び創造に関する施策(以下「環境施策」という。)を実施する責務を有する。

2 市は、環境施策の実施に当たっては、国、三重県及び近隣の地方公共団体との連絡調整を緊密に行うものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たって、環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、良好な環境の保全及び創造に必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念のっとり、事業活動に関し、市が実施する環境施策に積極的に協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活における環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、市が実施する環境施策に積極的に協力する責務を有する。

第2章 良好な環境の保全及び創造に関する基本的施策

(施策の基本方針)

第7条 市は、基本理念の実現を図るため、次に掲げる基本方針に基づく環境施策を推進するものとする。

(1) 産業公害の防止、自動車交通公害の防止、生活排水による水質汚濁の防止、廃棄物の適正処理等により、大気、水、土壌等を良好な状態に保持し、もって人の健康の保護及び生活環境の保全を図ること。

(2) 水や緑に親しむことができる都市空間の形成、地域の個性を活かした美しい景観の形成、だれもが利用しやすい施設の整備、歴史的文化的遺産の保全と活用等により、潤いと安らぎのある都市環境を創造すること。

(3) 森林、農地、水辺等における多様な自然環境の保全、貴重な野生生物の保護及び生態系の多様性の確保を図るとともに、人と自然との豊かな触れ合いを確保すること。

(4) 廃棄物の減量、資源及びエネルギーの効率的かつ循環的な利用、環境保全技術の活用等により、地球環境の保全を図ること。

(5) 人間と環境との関わりについて理解と認識を深め、環境への負荷の低減に主体的に取り組むことができるよう、環境に関する系統的な教育及び学習の推進を図ること。

(環境計画)

第8条 市長は、環境施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境計画を策定するものとする。

2 環境計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全及び創造に関する長期的な目標、地域別目標、環境施策の方向及び環境配慮の指針

(2) 前号に掲げるもののほか、環境施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境計画を策定するに当たっては、市民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、環境計画を策定するに当たっては、あらかじめ四日市市環境保全審議会の意見を聴くものとする。

5 市長は、環境計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表するものとする。

6 前3項の規定は、環境計画の変更について準用する。

(一部改正〔平成16年条例52号〕)

(年次報告)

第9条 市長は、環境の状況、環境施策の実施状況等を明らかにするため、年次報告書を作成し、公表するものとする。

(一部改正〔平成16年条例52号〕)

(総合的調整)

第10条 市は、環境施策の実効的な推進を図るため、次に掲げる事項について総合的な調整を行うものとする。

(1) 環境計画に関すること。

(2) 環境へ著しい負荷を及ぼすおそれのある市の施策の実施に関すること。

(3) その他環境施策の総合的推進に関すること。

2 市は、前項に規定する総合的な調整を行うため、四日市市環境調整会議を置く。

(調査研究体制の整備等)

第11条 市は、科学的予見性に基づく環境施策の推進を図るため、環境に関する調査研究体制の整備を図るとともに、他の研究機関との積極的な交流に努めるものとする。

(指導等)

第12条 市は、良好な環境の保全及び創造を図るため、事業者、市民又はこれらの者の組織する団体(以下「民間団体」という。)に対し、必要な指導及び助言を行うことができるものとする。

(自主的な活動の支援)

第13条 市は、事業者、市民又は民間団体による良好な環境の保全及び創造に関する自主的な活動を促進するため、情報提供その他必要な支援の措置を講ずるものとする。

(教育、学習等の振興)

第14条 市は、事業者、市民又は民間団体が良好な環境の保全及び創造について理解を深め、責任ある行動がとれるよう教育及び学習の振興並びに広報活動の充実に努めるものとする。

(国際環境協力)

第15条 市は、海外の地域の環境の保全等に関する国際協力の円滑な推進を図るため、必要な措置を講ずるものとする。

(財政措置)

第16条 市は、環境施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行についての必要な事項は、市長が別に定める。

(一部改正〔平成16年条例52号〕)

(施行期日)

1 この条例は、平成7年4月1日から施行する。

(四日市市環境保全審議会条例の一部改正)

2 四日市市環境保全審議会条例(昭和63年四日市市条例第15号)の一部を次のように改正する。

第1条及び第2条を次のように改める。

(設置)

第1条 本市の良好な環境の保全及び創造に関する基本的な事項を調査審議するため、四日市市環境保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事項)

第2条 審議会は、市長の諮問に応じて、次の各号に掲げる事項について調査審議する。

(1) 環境計画に関すること。

(2) 産業公害及び都市生活型公害の対策に関すること。

(3) 自然環境の保全対策に関すること。

(4) その他良好な環境の保全及び創造に関して、特に必要があると認められる事項に関すること。

第6条第1項を次のように改める。

良好な環境の保全及び創造に関する特定事項を調査審議するため、必要に応じて、審議会に専門部会(以下「部会」という。)を置くことができる。

(平成16年12月28日条例第52号抄)

(施行期日)

1 この条例は、平成17年2月7日から施行する。

四日市市環境基本条例

平成7年3月30日 条例第12号

(平成17年2月7日施行)