三福 |
四日市のこれからのまちづくりはどのように進められるのですか。 |
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市長 |
いま、国・地方問わず財政の悪化は深刻です。このことは今までやってきた行政のあり方を一変させます。小さな市町村から巨大都市までほとんど横並びであった行政のサービスは、国の支援措置があったから可能でした。しかし、もはやそのような余裕は国にありません。となると、地域のことは地域でやってくださいということになります。
そのような中、市民の皆さんと行政が力を合わせて、安心して暮らせるまちづくりを進めていきたいと考えます。 |
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三福 |
財政も厳しいようですが、少子高齢社会など社会環境は大きく変化していますね。 |
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市長 |
この社会環境の中でも、四日市が元気で自立したまちになっていく必要があります。三福さんは、四日市の中学校は英語のレベルが全国でもかなり高いことをご存知ですか。 |
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市長 |
もちろん、先生方や子どもたちの努力もありますが、従来から四日市独自で、姉妹都市であるアメリカ・ロングビーチ市から英語を指導する先生を招き、英語教育に力を入れてきた1つの成果でもあります。小学校にも英語指導員とのふれあいの機会をひろげています。これからも、英語に限らずスポーツ面でも、子どもたちの個性を伸ばし健康な心と体をつくる、そのような環境を整備していくことが必要です。
また、四日市は海や山の自然に恵まれていますし、産業も伝統産業から世界の先端を行く産業まで幅広く展開しています。さらに、豊かな農業や水産業などがあって地産地消(※1)が可能なまちです。里山などの自然や文化など地域の持つ多くの資源を活用して、市民の皆さんの活動で市民が原動力となった産業のようなものが生まれてくると、地域の元気がもっと出てくるように思います。
地域の個性や特性を生かしたまちづくりを進めることが、まさしく地方分権(※2)の時代ではないかと考えます。 |
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三福 |
自立したまちはどのようにすればできるのですか。 |
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市長 |
これには市民の皆さんのお力をいただかないとできませんが、自治体としても力を持つ必要があります。自治体の規模が小さい場合とか、行政能力が乏しいと自立したまちづくりは難しくなります。
都市の規模によって自治体の裁量権は大きく異なっています。政令指定都市(※3)は県とほぼ同じ行政権限を持ちますし、中核市(※4)は県の約7割、特例市(※5)は約1割前後ではないかと思います。いま、四日市市はこの特例市ですが、楠町との合併でワンランク上の中核市となることが可能となります。 |
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三福 |
都市規模が大きくなると行政コストも大きくなりませんか。 |
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市長 |
多くの権限を持つことになれば行政サービスも拡大しますので、新たなコストも生じます。しかし、従来の市役所のやり方や職員の配置などを見直したり、民間で可能なものは民間にお願いしたりするなど、行政改革によって行政コストを大きくしない工夫も可能です。 |
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三福 |
合併すると市役所の職員が増えるのではありませんか。 |
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市長 |
合併すると総務課など重複する管理部門を中心に、職員の削減を退職者の不補充などで短期間に実現できます。合併によるコスト削減は10年間で約30億円と試算されています。これらを環境や福祉など市民サービスの充実に生かしていきます。 |
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(※1)地産地消 |
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「地域生産・地域消費」を略した言葉。その土地に合った農産物を新鮮なうちに食べることができ、生産者の顔が見えることで安全性を確かめられる。また、消費者と生産者の相互理解を深めることができる取り組み。 |
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(※2)地方分権 |
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住民自らが地域のことを考え、自らの手で治めていくため、自治体が自主性・自立性をもって自らの判断と責任の下に地域の実情に沿った行政を行うこと。 |
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(※3)政令指定都市 |
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政令で指定される市で人口50万人以上が要件。県の行政事務権限のほとんどが移譲され、地域のニーズに即応した個性的できめ細かい行政が可能になる。また、区役所が設置され、市民生活に密着した事務を身近で行えるようになる。 |
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(※4)中核市 |
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都市規模に応じて国が指定する市で人口30万人以上が要件。県の行政事務権限の約7割が市に移譲され、各種許可申請などが迅速化される。また、保健所が設置され、医療、保健、福祉の連携が図れるなど、住民サービスが向上する。 |
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(※5)特例市 |
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市町村に権限移譲を推進するため、一定の人口規模を持つ市からの申し出で指定する市で、人口20万人以上が要件。騒音や振動を規制する地域の指定や、都市計画・市街地開発事業の区域内での建築許可など、県の行政事務権限の約1割が移譲される。 |
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