ワークライフバランスってなあに?

ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)とは?

 仕事、家庭生活、地域活動、個人の自己啓発などにかける時間の割合は、年代によっても家族構成によっても一人ひとり違います。
 「ワーク・ライフ・バランス」とは、誰もがさまざまな働き方や生き方に挑戦できる機会があり、子育てや介護が必要な時期など、それぞれがおかれた状況に応じて、多様で柔軟な働き方ができる状態のことをいいます。
 「バランス」という単語が使われていますが、仕事か仕事以外かどちらかを選ぶとか、50:50でバランスをとるというものではありません。
 メリハリのある仕事を行うことで仕事以外の生活にゆとりが生まれ、ゆとりある生活を行うことでメリハリのある仕事が生まれる、これがワーク・ライフ・バランスです。

ワーク・ライフ・バランスのポイント

  1. 女性が子育てしながら働くための福利厚生策ではなく、男女ともに関係がある
  2. 子育て世代だけではなく、あらゆる世代に関係がある
  3. 人生で迎えるライフステージ(独身・子育て・介護等)に応じて、自分の希望するバランスで実現できる
  4. 「メリハリのある仕事」と「ゆとりのある生活」の好循環が生まれる

なぜワーク・ライフ・バランスが必要なのか?

生産年齢人口※の減少と高齢者の増加

  • 仕事・家庭・地域で求められている責任を、高齢者や女性など出来るだけ多くの人が分担して効率的に果たしていくよう社会の仕組みを変えていく必要がある。
  • 高齢化、核家族化により、仕事をしながら親の介護をする人が増加している。

※15〜64歳までの年齢人口のこと   

長時間労働と低い生産性

  • 働きすぎによる疲労は、意欲の低下、心身の健康状態の悪化を引き起こす要因となる。
  • 長時間労働により、結果として1時間当たりの生産性が低くなっている。
  • 夫が長時間労働で家庭を顧みない生活をすると、妻に負担がいき、健康を損ねる場合もある。

共働き世代の増加と家庭形態の変化

  • 1980年、片働きの世帯数は共働き世帯の2倍近くあったが、1992年には共働き世帯の数が上回り、現在も増加を続けている。
  • 祖父母などの多世代同居から親子のみの小家族化へと変化している。
  • 仕事でもっと活躍したいと思う女性や、子育てにもっと関わりたいと思う男性が増加するなど、夫婦で育児を分担できる職場環境が求められている。
  • 生き方・働き方に対する個人の考え方が多様化している。

人口減少時代における「明日への投資」

  • 「仕事と生活の調和」を契機とした業務見直しをおこなうことで、無駄をなくすとともに、従業員の意欲が高まり、生産性が上がる。
  • 「仕事と生活の調和」をすすめることで、出産・育児・介護などを理由に離職する従業員が減少し、熟練した従業員の定着がはかれる。

●日本の現状(参考データ)

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2009より抜粋
公益財団法人 日本生産性本部 労働生産性の国際比較2009年版より抜粋

 

 

【残業が多く、生産性が低い日本】
日本は、主要先進国と比べて長時間労働者の割合がとても高い。一方、労働者の時間あたりの生産性は先進7カ国で最下位、OECD加盟30カ国中第20位。

長時間労働者(週49時間以上)の割合
週労働時間49時間以上の雇用者の割合
OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性
       (2015年/35カ国比較)
OECD加盟諸国の労働生産性

【女性社員が出産を機にやめてしまう】
育休を利用せずに就業を継続する割合は少しずつ減少しているが、育休を利用して就業を継続する割合は少しずつ上昇している。一方で、出産を機に退職する割合も上昇しており、結果として出産後も継続して就業している女性の割合はほとんど変化していない。

子供の出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴
6歳未満の子どもをもつ男性の育児・家事関連時間(各国比較)

【夫の家事関連時間】
6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間は、主要先進国と比べて最も短い。

6歳未満の子どもを持つ夫の家事・育児関連時間(1日当たり,国際比較)
6歳未満の子どもをもつ男性の育児・家事関連時間(各国比較)

【共働き世帯の増加】
昭和55年以降、共働き世帯は増加し、平成9年以降は共働き世帯が片働き世帯を上回っている。

共働き等世帯数の推移
6歳未満の子どもをもつ男性の育児・家事関連時間(各国比較)


●四日市市の人口推移

四日市市次期総合計画策定にかかる人口・経済指標推計報告書参照

 

 

何歳の人口が多くなるのか 何歳の人口が多くなるのか

30年間で生産年齢人口は2万6千人も減少、老年人口は3万1千人も増加



ワーク・ライフ・バランスに取り組むメリットとは?

ワーク・ライフ・バランスの取組を次の3つのポイントで整理すると・・・

(1) 両立支援や柔軟な働き方の促進
  • 育児・介護休業制度の充実(法を上回る期間、柔軟な取得が可能な仕組み)
  • 短時間勤務制度、在宅勤務制度・フレックスタイム制度
  • 事業所内保育所を設置
  • 復職支援

(2) 業務の効率化や長時間労働の是正
  • 業務や業務分担の見直し・棚卸し
  • 残業の削減促進(ノー残業デー等残業時間管理の厳格化)
  • 休暇の取得促進、休暇を取得しやすい職場づくり
  • 多能工(何種類もの仕事ができる従業員)育成

(3) 従業員の心身の健康保持
  • 業員の健康づくりに対する支援
  • 従業員に対するカウンセリングの実施 ・健康診断結果に基づく残業制限、深夜勤務禁止、就業禁止等の就業制限


企業が「仕事と生活の調和」に取り組むメリット
従業員の定着
(離職率の低下)
優秀な人材の確保
(採用)
従業員の満足度や
仕事への意欲向上
  • 従業員の知識や経験が失われることなく発揮される。
  • 新たな従業員を採用・育成するコストが不要になる。
  • 学生は仕事と生活を両立させたいという就職観が強く、優秀な人材の採用に貢献する。
  • 従業員の抱える様々なニーズに応えることにより、従業員の満足度や仕事への意欲が高まる。
コスト削減 生産性や売り上げの
向上
企業イメージや
評価の向上
  • 従業員の離職や病気休職等の回避によるコストの削減
  • 長時間労働の是正により残業代、光熱費等の削減
  • 業務目標を下げずに業務の効率化等を進めることにより生産性が向上する。
  • 社会的責任を果たす企業として企業イメージや評価が向上する。

  記事/アドレス
データ 1 平成27年版厚生労働白書 - 人口減少社会を考える -
図表1-4-7  長時間労働者(週49時間以上)の割合
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/15/backdata/01-01-04-007.html
データ 2 労働生産性の国際比較 2016 年版
公益財団法人 日本生産性本部
http://www.jpc-net.jp/intl_comparison/intl_comparison_2016_press.pdf
データ 3 男女共同参画白書 平成28年版
I−3−4図 子供の出生年別第1子出産前後の妻の就業経歴
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h28/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-03-04.html
データ 4 男女共同参画白書 平成27年版
I−3−6図 6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連時間(1日当たり,国際比較)
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h27/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-03-06.html
データ 5 男女共同参画白書 平成28年版
I−3−1図 共働き等世帯数の推移
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h28/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-03-01.html
データ 6 厚生労働省
我が国社会保障制度の構成と概況
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/07.pdf