□「みなと・まち市民会議」
第 7 回 会 議 録
日時:平成11年 3月19日 14:00〜16:00・
場所:四日市市総合会館8階第3会議室・司会者挨拶 都市整備課
・都市計画部長 挨拶
〔座長〕
「 政策を決める前に、広く市民の意見を反映しようとしたこのような試みは市として初めてであり、私にとってもこのような司会は初めてであった。今後はこうした市民参加は本格的になると思われる。皆さんの意見を基にまとめた提言書については、第6回の会議内容の反映するとともに、全体を通してもう一度表現上の整理を行ったため、本日は提言案の最終確認を行いたい。」
・第7回資料「『みなとまち四日市』のまちづくりに関する提言案」に基づき、事務局から説明(読み合わせ)
□表現に対する質疑応答
@P3〔4行目〜〕 四日市港周辺の再発見の一部
『〜 コンクリート、ゴミの散乱、海の汚れなど殺伐とした雰囲気がありました。』
〔委員〕
「 現地は確かにそのとおりであるが、表現から受けるイメージが良くないため『変化のきていない建物群』など『変化がない』『人気がない』とした表現はどうか。」
〔座長〕
「 中心市街地のまちづくりの小見出しを『中心市街地の課題』とするか、ストレートに『中心市街地の衰退』とするかは確かに議論のあったところであるが、結果的には課題としている。その『中心市街地の課題』のうち、@人口の減少、A商業の衰退は課題的に捉えているが、B四日市港周辺については『再発見』としており、殺伐としているが実際はたいへん魅力あるところだとのトーンで表現している。ただ、文章上『倉庫群』『防波堤』の後に『ゴミ』『海の汚れ』が続くことは前後の意味合いが異なるかもしれない。」
〔委員〕
「 実際は、変化していないことが古臭く、そのためゴミなどが見られる。」
〔委員〕
「 しかし、実際に現地視察した時にそう思ったからきれいにしてほしいとの考えもある。」
〔座長〕
「 この表現は現地視察した折に、常滑沖と四日市港との海の色を比べての感想から表現している。」
〔委員〕
「 沖合と沿岸部の海の色の比較はしにくい。四日市港も昔よりは随分きれいになっている。」
〔座長〕
「 『ゴミ』についても、実際に現地で清掃等に努めている方々のことを考えると表現は改めた方がいいと考えられる。『人気のないまちの雰囲気』など表現できないか。」
〔事務局〕
「 以上のご議論から、『〜 コンクリートが目につき、人気がなくさびしい雰囲気でありました。』としてはどうか。」(各委員了承)
AP5〔下から4行目〜〕 JR関西本線と貨物駅の扱いについての一部
『〜 市がその移転費を全額負担することになってしまいます。』
〔委員〕
「 確かに移転費を市がすべて負担しないことはいいが、県費にしても国費にしても同じ税金からの支出である。」
〔事務局〕
「 その項目の最後の表現を『〜 一体的に取り扱うことが、市として効率的な投資と考えられます。』としてはどうか。」
(各委員了承、検討後に『市として』を『総合的にみて』と再訂正)
〔座長〕
「 この提言書は、ある意味でこれからのまちづくりへの挑戦である。確かに今の中心市街地は衰退しているため、行政側にも再生してほしいとの考えがある。市民としても生活の流れを変えていかないとその実現はありえない。このような内容を踏まえた提言書を少しでも表現できるような副題を付けたい。案として、提言書の表紙に4つを提案させてもらっている。」
(参考)
@みなとと一体となった個性あふれるまちづくりへの提案
A市民生活のための中心市街地はいかにあるべきか
B私たちの中心市街地のまちづくりについて
C歴史を感じ、未来にふれるまちづくりの提言
〔委員〕
「 この会議がみなととまちを考えるという目的であり、具体的に考えたのはみなととまちであるため、@がいい。しかし、個性があふれているかは少し疑問である。」
〔座長〕
「 @〜Cのそれぞれのキーワードを組み合わせてもいい。」
〔委員〕
「 『私たちの』という表現が入った方が、より身近に感じられる。@を『みなとと一体となった私たちのまちづくり』とすれば、親しみやすい表現にならないか。」
〔委員〕
「 今までを振り返っての感想でもあるが、市民参加の会議に出席できる機会が得られたのは良かった。しかし、最初は専門用語もたくさん出て会議内容が難しく、また、会議自体がどっちを向いているのかわからず五里霧中なところがあった。しかし、3回、4回と会議が進むにつれて15年先の計画を考えているのだとわかってきた。この提言書は、とても内容が充実しているため行政側も実現に向けて努力してほしい。そして、四日市は『みなとまち』として、みなとのイメージを膨らませることが必要であり、JR四日市駅周辺から港の要素を取り入れて、その港が見えることに夢を感じている。」
〔委員〕
「 私は最初『中心市街地の衰退をどうくい止めるか』がテーマと思ったこともあった。しかし一年終わってみると、港を活かすことが話題の焦点となっていた。中心市街地の衰退は今や全国どこでも議論されているが、四日市には近くに港があったためその議論と一緒にできたが、港がないまちでは中心市街地の衰退を考える場合には港とは異なる議論になる。そう考えると、『中心市街地』は一年かけてのテーマだったとは考えにくく、@の『みなとと一体となった』という表現がふさわしいと思う。」
〔座長〕
「 この市民会議では、まちとみなとの一体化といった連続性を図ることをテーマとしていたが、第1回での市長の『今は中心市街地の衰退が非常に大きなテーマである』とのコメントを受けて、その検討を会議途中で行った。その検討を踏まえて、四日市はまちとして港が重要な拠点であるため、その港を中心市街地と一体的にとらえることが重要だと提言している。今のところ、副題に『中心市街地』を使うのはあまりふさわしくなく、@かCと考えられる。そして、そこに『未来』や『夢』をどう表現するかである。」
〔委員〕
「 最初はBかとも思ったが、会議の内容を考えれば『みなとと一体となった』という表現がよく表している。この提言書が1つの提案となって、今後もみなとをベースとしたまちづくりの議論を深めていくことが大切である。」
〔座長〕
「 中心市街地を考えて、ひとつの結論を導けたとの結果がわかるためにも、『みなとと一体となった』という表現は必要かと考える。」
〔委員〕
「 これからの社会は、行政側も市民のことを考えなければならないため『市民生活』との表現はどうか。」
〔座長〕
「 『未来の市民生活』との表現をどう使うか。」
〔委員〕
「 提言にはいま現在の私たちの思い入れもあるため、『未来』が入らない方がいい。
『未来』ではずっと実現しないとの感じが出る。」
〔委員〕
「 @に『個性あふれる』とあるが、これが海上旅客ターミナル(以下、CATとす
る)を表していると思われ、このCATをいかにまちの要素として組み入れるかである。個人的には、運河を掘ってJRの駅に近いところにCATが欲しいとの思いが今だにあるが、CATをまちに取り入れることは四日市のまちづくりにとってキー・ポイントと考えられる。」
〔座長〕
「 @の『個性あふれる』を、『未来にふれる』や『夢のある』と言い表していいと考える。『個性あふれる』部分を、市民会議では意見集約するには議論が煮詰まっていなかったこともあるが、提言書では例示している。その例示している部分は未来や夢の要素がある。また、Cの『歴史を感じ』は旧港、『未来にふれる』はCATを表しており、それが一か所にあることがおもしろいのである。」
〔委員〕
「 環境保全の立場から『緑』は表現できないか。」
〔委員〕
「 副題を付ける意味は全体内容を端的に表すためであるから、どちらかと言えば、方向性は示しているが具体性が少ない提言書の副題として抽象的な表現を使うと、読む人が『どこに個性があったかな』『どこに緑があったかな』と余計な期待を抱いてしまうから、内容を表すダイレクトな表現でいいと思う。」
〔座長〕
「 原点に戻りこの提言書の意味を考えるとP3にもあるが、市民が経済優先、効率優先でその役割を見失った中心市街地には、本来は市民の象徴で精神的なよりどころなどの意味があり、港周辺まで一体的にとらえて生活者の視点から再構築するべきとして、その方向性を示している。今のところ『みなとと一体となった未来の私たちのまちづくり』ではどうか。」
〔委員〕
「 どうも『みなと』の後に『未来』が続くと、横浜の『みなとみらい』をイメージしてしまう。」
〔座長〕
「 確かに、先程も『未来』との表現はよくないとの意見もあったので、『未来』は『夢』にしましょうか。」
〔委員〕
「 私も@だが、『みなとと一体となった私たちの夢あるまちづくり』ではどうか。」
〔座長〕
「 私もそういう感じで思っている。」(笑)
〔座長〕
「 私が事務局に要望したこともあるが、この提言書が今後どう取り扱われるか事務局から説明願いたい。」
〔事務局〕
「 まず、行政担当者で組織している『四日市市臨海部まちづくり連絡協議会』での検討を行う。この協議会では、霞ヶ浦から磯津の手前までの臨海部の広い範囲のまちづくり考えているが、その中心がJR四日市駅周辺としている。その協議会にて市民会議からの提言を発表し、検討を行い、まちづくり計画案へ反映させていきたい。
次に、平成11年度には中心市街地活性化の基本計画を通産省のメニューにて市の商工部が作成する。都市整備課としては都市基盤の観点から、基本計画を補完するために調査を計画しており、この提言の内容を活かしていきたい。
また、区画整理の地権者の方々に、今までまちづくりニュースを全戸配付しているが、提言書の内容をニュースとして地権者の方々にもお知らせしていく。
そして、市の都市計画課ではまちの将来像を示す『都市マスタープラン』を作成しており、そこでも皆さんのご意見を伺いたい。『みなと・まち市民会議』は今日で最終回となるが、今後も何かと委員の方々にはご協力をお願いしたい。」
〔座長〕
「 この提言書は、来る25日に市長に提出することが決まっている。」
〔事務局〕
「 市長には25日に提出するが、市議会の議長、副議長、また議会の部会である建設委員会の委員長、副委員長にも説明を行い、全市会議員に配付を行う。」
〔座長〕
「 市民会議としてはこのような提言を打ち立てたが、中心市街地の問題は市民全体のかかわることである。この提言書を行政内部で取り扱うのと同時に、市民全体でも議論し、内容の肉付けができるようにしていただきたい。」
〔事務局〕
「 中心市街地活性化の基本計画の作成では、市民との対話も行っていく予定であり、その中で提言を活用していきたい。また、機会があれば市の広報の掲載も検討していきたい。」
(市長 出席)
〔座長〕
「 市民会議は今日で最終回となり提言書がまとまったが、私の感想を交えて話したい。まず、この提言書の基本は、中心市街地を市民にとって使いやすい生活の中心となるように再構築してほしいということである。この内容はとても意味深く、今まで経済優先、効率優先としてきたため、まちは郊外化してしまい、都心の役割がなくなり、市民もその役割を見失ってしまった。しかし、市民生活を考えると中心市街地は重要であり、旧港など歴史を感じさせる四日市の原点となりうる地区を、中心市街地と一体となってとらえることが、四日市のまちづくりの一つの方向となるだろうと考えた。また、その方向でまちづくりを考えると、JRの鉄道高架、貨物駅移転は正しいことと思われる。
ただ、市の計画では触れられていない点がいくつかあり、まちの連続性を確保するためにJRを高架にすることはいいが、国道23号も大きな問題である。国道23号が現状のままでは、産業のためにも、沿道環境のためにも良いとは言えず、まちを分断させる大きな要因である。JR高架、貨物駅移転の後には、国道23号が残っており、その高架も併せて検討してほしい。
また、CATも委員の方にとって関心が高く、JR事業と事業時期が異なるが、市民会議としては旧港地区がどうかと考えた。一方、具体的な課題を考えると第1埠頭とも考えられ、結論付けはしていないものの、JR事業と関連付けて検討してほしい。」
〔市長〕
「 市民である皆さんの声を聞く中で、行政として失敗を繰り返したくないと考えている。『一体、四日市のまちは誰のものなのか』を考えなければならず、決してコンビナートや市役所のものでもなくて、生活している方々のものである。中心市街地も商店街のものではなく、市民のものであって、その点を考え直さなければならない。商店街は客さえ来ればいいと今までは考えおり、そのために衰退していったのは何も四日市だけでなく全国的な傾向である。
中心市街地について、中心市街地のまちづくりが盛んな長浜市黒壁の笹原さんが四日市に来て『諏訪神社がおもしろい。都心の真ん中にあり、しかも入り口が4つもある。あれを使わない手はない』とか、東京では『アフター5構想』といって人の動きと合わせて午後5時からまちの活性化を図るべきなど色々な提案がある。四日市の中心市街地に求心力が出るようなまちの再開発をしなくてはならないと考えている。
その中心市街地が求心力を持った後にそれが港につながればいいが、みなととまちをくっつけられるのか、くっつけられないのか検討しなくてはならない。市の内部でもJR高架は否定できない、あるいはCATの関連で旧港をまちの要素と考えることは重要であるとの意見があり、市民会議からの提言はうれしい。
ただ、JRの事業には莫大なお金がかかり、それには全体事業費 710億円以上、うち市負担 260億円以上である。それはできないとの意見もあるが、私は着膨れした市の体制を建て直すため、行財政改革を進めることが、その事業を可能すると考えている。
四日市は全国 670都市ある中で1割の中に入る都市であって、かつては6〜7番目の都市であった。今後も、確かに手応えのあるまちにしたいと思っており、委員の皆さんにはご苦労さまではなく、今後もご意見を寄せていただきたい。」
〔座長〕
「 委員の皆さんから市長へのご意見はいかがですか。」
〔委員〕
「 市にお金がないのはよくわかるが、夢まで絞っている感じがする。私たちの次の世代が誇れるような夢のある施策が必要である。四日市はあまり住みやすくないとの意見を耳にするが、このままだと桑名や鈴鹿に人を取られてしまう。」
〔座長〕
「 四日市ぐらいの大都市近郊の30万都市の中心市街地が再生できないのなら、日本全体の中心市街地がなくなり、まち全体がどうなるのかと危惧してしまう。その中心市街地を生活者にとって使いやすくするため、長いスタンスに立って取り組んでもらいたい。」
〔委員〕
「 物質主義の世の中であって、現実として子供たちも夢が持てない世の中で、何が豊かで、何が一番大切なのかを考えて、社会をつくることが大切だと思う。」
〔市長〕
「 まちづくりは今や大きな転換期にきている。今までは、お金をつぎ込んで公共施設を整備してまちは良くなった。しかし、ここにきて、そのようなまちづくりでいいのかと反省が出てきている。例えば、三滝川の河川敷を立派に整備にしたが、自然がなくなり鳥などが集まらなくなったことがあり、どうするべきかとの課題が出てきた。人が先に出て、自然が後ろに下がるのがまちづくりなのかとの意見もある。 その意味でも、都会はひとのせいにできるエリアであり、自然は神の掟と言うか、ひとのせいにできないエリアとの考えがある。これからのまちは、ひとのせいにできるエリアとひとのせいにできないエリアをいかにうまく散りばめて自然と共生するかを考えていかなくてはならない。四日市はたいへんロケーションがよく、国際港、企業立地、住宅街があり、水沢地区や保々地区には豊かな自然があるため、これらの良さを活かさなければならない。
また、訪れる高齢化社会に対しては、お年寄りの方々がいとも簡単に移動ができる社会を実現することが必要と捉えている。公共バスを無料で走らすなどして、高齢になって車を乗りたくない人が、いつでも街なかに来たり、帰ってたりすることができることだと考えている。いかに車を減らし、かつ車に乗りやすくするかを考えながら、公共交通機関の充実を高齢化社会の到来に向けて真剣に考えていきたい。
それに関して、バス会社は赤字路線を減らそうと考えており、そのバス会社に依頼することは難しい現状であるが、そこで市としてどうするか知恵の出しどころと理解している。」
〔座長〕
「 バスについては、高齢者の利用だけでなく、私たち若者もいつでも乗れるといったコミュニティバスが必要である。
また、公共施設を中心部に設置したらどうかとの意見もあった。公共施設を郊外に設置することは、まちの郊外化を助長してまちを使いづらくしており、公共施設さえ車でしか行けないのは、市民にまちとはそういうものだと示している。
ニュータウンを造る際には、まず公共施設を設置し、求心力をつけ、そして民間進出を促したりしており、中心市街地に関しても、公共施設を設けるなどしてまず行政としてのまちの再生のスタンスを示し、その何十年後に活性化を実現すべきである。」
〔委員〕
「 笹川通りから小林町にかけて、山が崩されて少なくなっている。笹川の公園(南部丘陵公園)などは本当の自然を壊して、その後に人工的に木を植えている感じがしている。自然がなくなるのはさびしく感じ、歯止めをかけてもいいと思う。街なかの緑も大切だが、まち周辺の自然も大切である。」
〔市長〕
「 その対策は確かに考えており、その辺りは珍しいトンボの生息地としても有名であった。ただ、開発規制をどうしていくかは問題があって、実際に議会などでも開発を控えようというのはむしろ少数派である。これは、今までの生活が便利さばかり追求してきた結果であり、ちょうど今は時代の転換期にきていると理解している。
そのような中で、行政による規制も大切であるが、住民皆さんの意識による規制も大切である。ひとのせいにするエリアではなく、自分たちのせいにするエリアをつくろうではないか、そのための意識改革も必要であると考えている。」
〔座長〕
「 里山を実際に買収することは難しいため、市長のお考えのように、土地を持っている方の意識も変えて、ボランティアの方々の協力で守っていくことである。」
〔市長〕
「 土地を持っている方は、土地の坪単価が上がった方が良く、土地を持っていない方は良い景観が欲しいと考えているのが現実である。」
〔事務局〕
「 行政側が責任転換するわけではないが、藤前干潟などの問題は住民パワーが行政を動かしたいい例であって、法的な整備ができていなくても市民の方々の意識がしっかりしていれば、正しい方向づけができると考えている。」
〔委員〕
「 私も個人的に里山研究会を作って活動しているが、四日市の自然は、四日市の市民の手で守らなければならないと考えている。」
〔都市計画課〕
「 3月上旬号の広報よっかいちにも掲載したが、日本で初めて市街地限界線を設けて緑も守ろうとした都市マスタープランの案を作成したが、今後は皆さんとともに考えていこうとしている。今後もメディアを通じて広報活動していくが、このように行政が構想を打ち立てると、一緒にやろうとの市民の声もあって反響は大きい。」
〔座長〕
「 25日には提言書を市長に提出いたしますので、よろしくお願いします。」