□「みなと・まち市民会議」
第 5 回 会 議 録
日時:平成11年 1月22日 13:30〜16:00
場所:四日市役所11階第4委員会室
・司会者挨拶 都市整備課
・挨拶
「 平日のお忙しい中、ご出席いただきありがとうございます。昨年7月に始まったこの市民会議の位置づけであるが、ここで取り上げる『JR四日市駅周辺活性化事業』は事業規模や財政支出を考えるととても大きなプロジェクトであり、その推進は今の時代、簡単に進めることは難しい。しかし、この事業は21世紀の四日市を考えると最も重要な事業であり、その実現には市民参加の視点から、この計画を見直していただき更により良い計画にするため、この市民会議を開催している。
この市民会議のように、市民の方々にご参加いただいてまちづくりを考えることは市では初めてのケースであり、皆さまにご迷惑をお掛けすることもあるが、引き続きご意見をいただき、そのご意見を計画に充分反映させるよう検討を進めてまいりたい。」
・座長
「 前回から行政の考えていることはどういうことなのか説明を受けるため、行政にも議論の中に入ってもらっているが、今回、もう一度、市のプランを説明してもらい、次回から我々の意見をどう集約するか考えていきたい。前回のアンケートを受けて、先程、助役からも説明があったが、市民会議の位置づけから、事項書に基づき順に進めてまいりたい。」
・第5回市民会議資料に基づき、事務局より説明
〔市民会議の位置づけについて〕
・ JR四日市駅周辺活性化事業の計画を、市民参加の視点から見直してより良い計画にすべく検討していただき、計画に対して提案をいただく。
・ 市民会議からの提案後、行政担当機関の連絡調整会議で検討を行い、計画案を作成し、政策決定資料として各関係機関と協議を行う。
〔JR四日市駅周辺活性化事業のスケジュールについて〕
・ 会議の中で話している内容は決まったものではなく計画中のものであり、市民会議での提案も受けながら、事業実現に向けて検討を進めている。
〔事業のしくみについて〕
〔連続立体交差事業〕
・ まちと港を一体的にするために、例えば道路を単独で高架にするとその高架にした道路周辺の土地は使いにくくなる。鉄道を連続的に高架にする場合、4本の道路を同時に連絡させ、線路で分断されているまちを連続させることにメリットがある。なお、道路を4本同時に立体化することは難しい。
〔貨物駅移転事業〕
・ 貨物駅は鉄道輸送の利点を考えると大切な役割を果し、街の中にあることに意味もあったが、今後はコンテナ基地(霞地区)に近い方が機能しやすいと判断している。また、貨物駅があると踏切遮断時間が長く、貨物ヤードがまちをを分断しており、まちづくりの観点から移転が必要と考えている。
・『貨物駅さえ移転すればいい』のご意見については、現在、貨物駅の移転を連続立体交差事業の中で国の補助対象の一部として考えている。貨物駅の移転だけを行う場合は、市で移転費を全部賄わなければならず、今は補助対象とした方が合理的と考えている。
〔区画整理事業〕
・ まちの基盤を整えるのに最も有効な手段と考えており、まちと港を結びつけるため、中央通りを延伸していくことをJR駅周辺のまちの基盤づくりと共に進める手法として計画している。
〔事業費・事業効果について〕
〔四日市の財政−広報12月上旬号も用いて説明〕
・財政力指数:各地方へ税収入を分配する地方交付税制度に基づき、税金として入ってくるお金と使用するお金の割合を示すもので現在 1.018。
・公債費 :市の借金で、公債費の返済が一般総額に占める割合は現在13.6%。この公債費の負担割合が20%を超えると危機状態とされている。
〔事業費について〕
・財源内訳のうち、市負担は260億円であるが、そのうち92億円を起債(借金)として可能。その場合、公債費負担比率を約1.0 %押し上げる。
〔事業効果〕
・お金に置き換えられるものとして
○建設による各産業への効果
「風が吹けば桶屋が儲かる」といったように、各産業のつながりを表すモデルに基づき効果をお金に換算。
○道路新設による効果(時間短縮)
中央通りの延伸により時間が短縮されることを、人の標準的な行動からお金に換算。
○踏切をなくすことによる効果(時間短縮、燃料節約)
踏切をなくすことによる時間短縮の効果、一時停止解消による燃料節約の効果をお金に換算。
○開発による効果(地価上昇)
区画整理による開発の効果を、資産価値として地価がどれだけ上がるかを数値化。
□質疑応答
〔座長〕
「 事業評価についてはその算出方法が決まっておらず、算出方法に疑問もあり、また、30年というロングスパンの効果を試算しているため、社会状況が変われば当然数値に変化が出てくることは確かである。しかし、事業を行えば何なりの効果があることは理解できる。
事業費の中で、市と鉄道会社等との負担割合はどういう過程で決まっているのか」
〔事務局〕
「 決定事項ではないが、連続立体交差事業の場合は、近鉄四日市駅の事例から言えば、鉄道会社が7%の負担を行い、残りを国、県、市にて負担を行う。」
〔事務局〕
「 区画整理事業の場合は、基本事業費に対して国が1/2、残りを市が負担する」
〔座長〕
「 市負担260億円のうち、92億円は起債(借金)が可能とのことだが、それ以外はどう負担するのか。」
〔事務局〕
「 それ以外は、市において単年度ごとに負担していく。」
〔事務局〕
「 その92億円の起債を起こすと、利子が発生するため260億円の負担が300億円になり、同時に事業期間に償還期間を含めると27年間になり、返済が14年伸びる(事業期間は13年間)。しかし、単年度の負担をピーク時には24億円と低くすることが出来る。」
〔委員〕
「 これらの効果は2〜3年といった短期間において出さないか。」
〔事務局〕
「 事業効果はその効果が発揮される時期で評価を行うため、今回は30年間とした。」
〔委員〕
「 事業効果はこの他にもあると思われ、もっと良くなるのではないかと考える。」
〔事務局〕
「 事業により土地の生産性が高まり、その付加価値が高まる効果が考えられるがそ れを数値化することは専門的な研究がなされていない現状がある。」
〔座長〕
「 市は区画整理事業による効果を、地価を指標として間接的にシンプルに評価したため、リアリティがないことは確かである。」
〔事務局〕
「 例えば、ビルの容積率の設定から効果を計る方法とか、区画整理事業を行ってそこで生活する人々の満足度から効果を計る方法とかがあるが、設定そのものにリアリティがなくなる可能性がある。」
〔座長〕
「 例えば、JR貨物の跡地の拠点施設に誰も人が来なかった場合、この効果は変わるのか。」
〔事務局〕
「 今回の試算には、拠点施設による事業効果は入っておらず、あくまでも土地の開発のみである。」
〔事務局〕
「 拠点施設の効果は何を立地させるのかによって異なるため、まだ評価できない。」
〔委員〕
「 今までの市が行ってきた再開発事業の効果は出しているのか。」
〔事務局〕
「 本市ではないが街路事業の施工後の評価例はあるが、残念ながら再開発事業については事業を評価した例はない。」
〔座長〕
「 事業評価システムについて問われだしたのは最近であり、例えば事業の比較検討を行うときに活用する。事業決定について、今までは『皆が欲しいと思うなら必要』として意志決定しており、よって日本では事業評価システムが確立していない。」
〔委員〕
「 資料のように実際に効果があると証明されるなら、このことは説得力を持つと思われ、過去の事業において事実を確かめると良い。」
〔事務局〕
「 事業効果は試みとしては難しくなく、単純に開発前と開発後を箇所ごとに比較して、その開発可能性を比較することは出来る。今までもこのような議論はあったに違いないが、今は公共事業に対する事業アセスメントが見直されており、経済効果を検討し、説得力を持たないと今後の公共事業を進めることは難しいと理解している。」
〔座長〕
「 事業費の説明のうち、起債が92億円で公債費負担比率を1%を上げることは高いかもしれない。」
〔事務局〕 「 近鉄四日市駅を高架にした場合にも事業費はかなりの負担だったが、高度成長の中にその負担が隠れてしまった経緯がある。今の市の財政として平成4、5年に事業化した下水道事業の元金の償還が始まり、これからJR高架を事業化した場合に土木費のうち20数億円を負担することは難しいことは確かである。しかし、今は将来においてこのような事業が起こった場合にも対応できるような弾力性のある財政構造を組んでおり、公債費の発行も極力抑えて努力していきたい。」
〔座長〕
「 事業のしくみについて、市からの説明によると国や県の補助を受けながらできる今の事業手法でやりたいとの考えらしいが、貨物駅の移転についてもう少し説明してほしい。」
〔事務局〕
「 鉄道を高架しても貨物駅が今の場所にあるとまちづくりの意味がない。例えば、道路を作る場合に移転が必要な家に対して移転費を補償するように、今回の連続立体交差事業では、貨物駅の移転に対して移転補償として国や県から補助が出る。
また、貨物駅移転だけを行う場合は国の補助はなく、その場合は全額市の負担となる。」
〔座長〕
「 連続立体交差事業の事業費のうち、貨物駅移転費はどのくらい占めるのか。」
〔事務局〕
「 連続立体交差事業の事業費495億円のうち、約130億円である。」
〔事務局〕
「 また、その事業費495億円のうち、国が1/2、残りを県と市がそれぞれ負担するため、全体の1/4づつとなる。よって、概算ではあるが市として、120億円で連続立体交差事業と貨物駅移転を行うか、130億円で貨物駅移転のみを行うかを比較することになる。」
〔委員〕
「 事業効果のうち、その効果は四日市の企業、あるいは四日市市民が受けるだけではないのですね。」
〔座長〕
「 四日市に限らず多くの方が便益を受ける。連続立体交差事業はその効果が広範囲に渡るため、国や県が補助を行うとも考えられる。」
〔委員〕
「 貨物駅移転に関して、JR貨物の意見は具体的にあるのか。」
〔事務局〕
「 JR貨物としては、今の貨物駅が老朽しているため新しく施設更新を行いたく、移転には概ね了承しているが、ただ、JR貨物は赤字会社のため、自ら新たに投資しての移転は難しく、事業による補償費で対応したいと考えている。
JR貨物にとって、四日市は全国で11番目の取り扱い量で大切な営業場所であって、移転候補地は霞埠頭にも近く、富田山城線にも連絡できるためJR貨物にとっては好条件と考えている。」
〔委員〕
「 近鉄四日市駅の高架は、街が西に伸びるのを助長させてすごく効果があったと思う。事業効果について、資料には、お金に置き換えられるものとそうでないものがあるが、近鉄四日市駅の高架の効果はお金に置き換えられるものが多く、JRの高架の効果は車に通行の効果としか考えられない。」
〔事務局〕
「 資料の事業効果は、区画整理の計画エリアに限定した効果で試算しているが、中央通りが延伸した場合、その事業効果が港地区全域に及ぶことも考えられる。」
〔事務局〕
「 事業効果には、お金に置き換えられるものとお金に置き換えられないものがあり、後者は人がその社会資本があるという意識(イメージ)を持つことで生じてくる動きであり、その効果を文章で表している。」
○ 前回の事務局アンケートの中で、事務局により説明してほしい点のうち、残りの21と23の意見に対して事務局より説明
・第5回市民会議資料P5に基づき、事務局より説明
□質疑応答
〔委員〕
「 説明によると建設省はまずは北勢バイパス、将来的には国道23号の重層化とのことであるが、確かに以前に防音工事で2重サッシにしてもらったがほとんど効果がない。また、沿道の外壁も排気ガスですぐに黒ずんでその洗浄は個人持ちである。今の沿道の状況ではこのままではいかず、建設省には意見しないとだめだと感じる」
〔座長〕
「 幹線道路の沿道環境の問題は四日市だけでなく、全国的な課題となっているのは確かである。」
〔委員〕
「 沿道の防音対策の対象が、65dBから60dBに緩和されたがどうするのか。」
〔事務局〕
「 防音対策の対象が緩和され、対応が考えられる箇所が増えたが何もせず残っている。一度、建設省担当部署の三重工事事務所の調査2課、あるいは市の窓口である基幹道路対策課で話しをされると良い。一方、臨海部まちづくり連絡協議会の中にも三重工事事務所の担当者に参加してもらっており、市民会議で沿道環境を良くすることを望む声がたくさん出ていることは既に報告している。」
〔座長〕
「 市民会議としては、国道23号の沿道環境は非常に問題であると判断しているが、その見解として、すぐに高架にしなさいと提案するのか、何か他の具体的な対策案を持ってそれを提案するのか考えなければならないところである。
しかし、現地視察を行った際にも国道23号がまちを分断していると感じられ、また、産業面からも考えなければならない。」
〔委員〕
「 国としても北勢バイパスを先行したく、県と市はその建設に協力しているが、北勢バイパスはいつごろできるのか、また、国道1号と国道23号のバイパスなら、どれくらい交通が流れるのか。」
〔事務局〕
「 北勢バイパスは、現在、東海環状道路との並行区間(朝日インターまで)は工事を行っているが、それから先の見通しが立っていない。三滝台ルートの問題もあって計画より遅れてはいるものの建設を急いでほしいと言っている。」
〔事務局〕
「 国道23号は、容量が48,000台に対して現在は62,000台が走っているが、北勢バイパスが完成されれば約20,000台がそちらに流れ、国道23号は約40,000台となり、渋滞は解消されると計画されている。」
〔事務局〕
「 今の市の計画案ではその北勢バイパスの建設が遅れた場合でも、幅員40mの中で植樹帯を大きくして夜間でも騒音が道路端で60dBより大きくならないよう計画している。」
〔委員〕
「 北勢バイパスが出来ても約40,000台が通るのなら、排ガスの出ない車が出来ない限り、沿道の煤けた感じはいつまで経っても直らず、例えば、区画整理で国道23号を人目に触れさせないようにするなど別の施策を考えないとだめだと思う。」
〔座長〕
「 国道23号は区画整理区域を拡幅するだけでは効果がなく、沿道区域全体を40mに拡幅しなくてはならないと考えるが、その点は協議中であるのか。」
〔事務局〕
「 国道23号を拡幅するには、区画整理区域から三滝川までの沿道整備計画区域を全て都市計画決定を行わなければならない。しかし、都市計画決定を行ったからといってすぐに事業化することは難しく、沿道の環境保全の観点から要望していく。」
〔委員〕
「 ディーゼル車の排ガス規制実施はいつか。」
〔事務局〕
「 ガソリン車の規制は先程の数値だが、ディーゼル車は今は分からず、調べておく」〔岡 座長〕
「 国道23号の問題は、長期的に対応することと短期的に対応しなければならないことがあり、北勢バイパスまで待っているよりも、市民会議として短期的な対策を提案することも大切である。」
〔委員〕
「 国道23号の対応をJR駅の近くにあるから、鉄道高架と一緒に計画しているが、鉄道高架事業にはお金がかかるため、鉄道高架事業とは切り離し、道路は道路として考えないと思い切った対応が図れないのではないか。」
〔事務局〕
「 建設省の予算のうち、鉄道高架事業は街路事業として都市局の管轄であり、国道23号の問題は道路局の管轄であって、予算的には重複しない。国道23号の問題は、北勢バイパスとの関係であり、国道23号への対応は北勢バイパスの後と計画されている。」
〔委員〕
「 今の順番は北勢バイパス、国道23号とのことであるが、国道23号をJR活性化事業と合わせて要望していくのではなく、幹線道路の整備として別の切り口からも要望していけば、逆にJR活性化事業とリンクして考えてもらえるのではないか。」
〔座長〕
「 区画整理区域外はどう対応していくのか。」
〔事務局〕
「 検討中ではあるものの、例えば、直接用地買収として建設省に取り組んでもらう場合とか、沿道区画整理事業として用地を生み出すため市と建設省が共同で取り組む場合が考えられる。」
〔座長〕
「 以上の話を踏まえて、高架にしない前提ならどう対処するかなど考えなければならない。」
□質疑応答
〔座長〕
「 今までの会議の中で、もう少し議論が必要な課題として、海上アクセス計画とJR周辺をどんなイメージのまちにするのか、との点について今までの主な意見を紹介した形で資料をまとめた。例えば、拠点施設の内容など具体的なところは社会の変化に対応さぜるを得ないが市民会議として具体的なイメージを提案したく、今日のところはどうするか伺いたい。」
〔委員〕
「 それぞれの課題について、各委員それぞれ思うところがあると考え、次回以降にもう少し時間をかけて議論を行いたい。」
〔座長〕
「 それでは中部国際空港海上アクセス計画−資料P6のみ事務局に説明願いたい。」・第5回市民会議資料P6に基づき、事務局より説明
〔座長〕
「 海上アクセス計画についても市民会議として意見が期待されているが、海上アクセスを中心街と結びつけることはいいのかとの意見も確かにあるが、今までの市民会議の意見では、まちづくりとしては中心街に近い方がいいとの印象を受けている。
次回からは市民会議としての意見集約について議論を行うが、ひとつの方向のみに意見を集約するつもりはなく、例えば、ある方の意見は・・、ある方の意見は・・、と意見が分かれてもいい。その中で、一見すれば異なる考えから、共有できる部分を取り出して抽象的な表現となってもいいからまとめていきたいと思っている。
それでは、海上アクセス計画、JR周辺の将来、拠点施設機能について、論点整理を行いたく、意見をもう一度伺うため、事前にアンケートをお願いしたい。」
〔事務局〕
「 課題の3点について、アンケートでもう一度事前に意見を伺うのか、それとも今までの会議の意見集約を行い次回に検討を行うのか、どちらにしましょうか。」
〔委員〕
「 今までの意見は会議録をいただいているため、それで確認したい。」
〔委員〕
「 次回は今までの意見集約について議論を行うが、それを行うに当たり事前に準備期間が欲しく、次回の開催までに意見集約した原案がいただけないか。」
〔座長〕 「 それでは、事前のアンケートは行わず、今までの意見を集約したものを事務局とともに用意したい。」
〔事務局〕 「 次回予定は2月下旬とし、資料は中旬ごろ発送したい。」
〔委員〕
「 事務局へのお願いだが、昨年の12月から始まった三重交通の名古屋空港までの直通バスの利用状況が知りたく、全体利用者数と1台当たりの利用者数を調べていただきたい。」
〔事務局〕
「 次回までに調べてお知らせしたい。」