○四日市市犯罪被害者等支援条例

令和元年10月4日

条例第34号

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等に対する支援(以下「犯罪被害者等支援」という。)に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等支援の施策について基本的な事項を定めることにより、犯罪被害者等が受けた被害の早期回復及び軽減に向けた取組の推進並びに犯罪被害者等を支える地域社会の形成を図り、もって市民が安全に安心して暮らせるまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。

(2) 犯罪被害者 犯罪等により害を被った者をいう。

(3) 犯罪被害者等 犯罪被害者及びその家族又は遺族をいう。

(4) 特定犯罪被害 特定犯罪行為(日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪にあたる行為(刑法(明治40年法律第45号)第37条第1項本文、第39条第1項又は第41条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第35条又は第36条第1項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)。以下同じ。)による死亡又は重傷病(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号)第2条第5項に規定する重傷病をいう。以下同じ。)をいい、特定犯罪行為の時又はその直後における心身の被害であって、その後の死亡又は重傷病の原因となり得るものを含む。

(5) 特定犯罪被害者 特定犯罪行為により害を被った者をいう。

(6) 市民 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第5条の規定により、本市の住民基本台帳に記録されている者をいう。

(7) 関係機関等 国、都道府県その他の地方公共団体、犯罪被害者等支援を行う民間の団体その他関係するものをいう。

(8) 再被害 犯罪被害者等が当該犯罪等の加害者から再び危害を加えられることをいう。

(9) 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の偏見や心無い言動、プライバシーの侵害、インターネットを通じて行われる誹謗中傷、報道機関等による過剰な取材等により、犯罪被害者等が正当な理由なく受ける精神的な苦痛、身体の不調、経済的な損失等の被害をいう。

(基本理念)

第3条 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が個人としての尊厳を重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障されるよう、犯罪等による被害を受けた時から再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、犯罪被害者等が置かれている状況等に応じて、適切に途切れることなく推進されなければならない。

2 犯罪被害者等支援は、再被害及び二次被害並びに犯罪被害者等の名誉及び生活の平穏を害する事象が生じないよう、犯罪被害者等に関する個人情報の取扱いについて十分に配慮のうえ、関係機関等が相互に連携して推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念にのっとり、関係機関等と連携し、犯罪被害者等支援に関する施策を策定し、実施するものとする。

2 市は、犯罪被害者等支援のための施策が円滑に実施されるよう、犯罪被害者等支援に係る体制の整備に努めるものとする。

(市民及び事業者の責務)

第5条 市民及び事業者(以下「市民等」という。)は、第3条の基本理念にのっとり、犯罪被害者等を地域社会で支え合う重要性について理解を深め、二次被害を生じさせることのないよう十分に配慮するとともに、市及び関係機関等が行う犯罪被害者等支援に協力するよう努めるものとする。

2 犯罪被害者等を雇用する事業者は、犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続に適切に関与することができるよう、その就労及び勤務について、十分に配慮するよう努めるものとする。

(相談及び情報の提供等)

第6条 市は、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関等との連絡調整を行うものとする。

2 市は、前項の規定による支援を総合的に行うための窓口を設置するものとする。

(日常生活の支援)

第7条 市は、特定犯罪被害により日常生活を営むことについて支障がある特定犯罪被害者(特定犯罪行為により害を被った時に市民であった者に限る。)及び特定犯罪被害者の遺族(特定犯罪被害者が特定犯罪行為により害を被った時に当該遺族が市民であった場合に限る。以下これらの者を「特定犯罪被害者等」という。)に対して、家事に関する支援、保育に要する費用の補助その他の日常生活を営むために必要な支援を行うものとする。

(居住の安定)

第8条 市は、特定犯罪被害により従前の住居に居住することが困難となった特定犯罪被害者等に対して、転居するために要する費用及び家賃の補助その他の居住の安定を図るために必要な支援を行うものとする。

(支援金の支給)

第9条 市は、特定犯罪被害者等が、一日も早く平穏な暮らしを取り戻すことができるよう、これらの者に対して支援金の支給を行うものとする。

(雇用の安定)

第10条 市は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、関係機関等と連携し、犯罪被害者等が置かれている状況についての事業者の理解を深め、犯罪被害者等の事情に配慮した職場環境の整備等が促進されるよう必要な支援を行うものとする。

(市民等の理解の促進)

第11条 市は、広報啓発活動等を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性について市民の理解を深めるとともに、二次被害を防止し、犯罪被害者等を地域社会で孤立させることのないよう、情報の提供、教育の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成)

第12条 市は、犯罪被害者等支援の充実を図るため、相談、助言及び情報提供並びに犯罪被害者等支援を担う人材の養成及び資質の向上のために必要な措置を講ずるものとする。

(個人情報の適切な管理)

第13条 市は、個人情報の重要性を認識し、犯罪被害者等及び関係者の個人情報を適切に管理しなければならない。

(委任)

第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行し、第7条から第9条までの規定は、この条例の公布の日以後に生じた特定犯罪被害について適用する。

四日市市犯罪被害者等支援条例

令和元年10月4日 条例第34号

(令和元年10月4日施行)