○四日市市観光・シティプロモーション条例
平成28年3月23日
条例第21号
前文
私たちのまち、四日市市は、西に鈴鹿山脈、東に伊勢湾を望むすばらしい自然に恵まれ、古事記、日本書紀の時代から交通の要衝としてさまざまな歴史を刻み、室町時代には「市(いち)」が開かれたまちとして、江戸時代には東海道の43番目の宿場町として栄えてきました。このような自然と歴史と文化、そして先人たちの努力により、明治時代には近代産業が発展し、世界に広がる港まちとして推移してきました。戦後、日本を代表する石油化学コンビナートが形成され、その過程において発生した公害に関しては、市民、企業、行政が連携し、環境改善に取り組むことによって、産業の発展と環境の改善を両立したまちづくりを行ってきました。
そうした本市の歩みを大切にしながら、未来に向けて、産業と環境、産業と文化が調和した魅力と風格を備えた都市を目指しています。
今後、このような本市の歩みや本市の様々な魅力を知っていただくためには、「来て・観て・感じて」いただくことが重要です。そのためには、市民が誇れる地域資源を最大限に活かして、新たな魅力を創造し、磨き上げ、発信していかなければなりません。
そこで、市民、事業者、行政が一体となって、市の魅力を発信できるよう、観光推進及びシティプロモーションを通じた本市の魅力の創造と発信に努め、都市の持続的な発展に資することを目的に、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、本市の都市イメージの向上及び市民が地域を誇らしく思う心の醸成を図るとともに、その魅力の創造と発信によって、市外からの交流人口や定住人口の増加を促進し、もって、産業と環境、産業と文化が調和した都市として、持続的な発展に資することを目的とする。
(1) 事業者 宿泊、飲食、旅行、地場産品の製造又は販売、交通、情報発信等の事業を行う者のうち、地域の魅力の創造及び発信に関わる活動を行うものをいう。
(2) 団体 事業者や市民が組織する団体のうち、地域の魅力の創造及び発信に関わる活動を行うものをいう。
(3) 市民等 市民、企業その他の本市に関わるすべての者をいう。
(4) 地域資源 自然、風土、歴史、文化、産業、地場産品、人材その他の地域の個性を形成する資源のうち、地域の魅力の創造に資するものをいう。
(5) シティプロモーション 地域資源に対する市民等の誇りの醸成を基礎として、地域の魅力を創造し、磨き上げ、発信することによって、都市イメージの向上を図る活動をいう。
(基本理念)
第3条 本市における地域の魅力の創造及び発信は、次の各号に掲げる基本理念に基づき行うものとする。
(1) 地域資源に対する市民等の理解と関心を深め、地域における創意工夫を生かした自主的かつ主体的な取組を尊重すること。
(2) 地域に誇りと愛着を持ち、温かなもてなしを実践することが重要であるという認識の下に推進すること。
(3) 将来にわたる持続的な取組を実現するためには、良好な自然環境、景観及び歴史的又は文化的資産の保全、再生及び活用を図ることが重要であるという認識の下に推進すること。
(4) 市及び市民等の相互の連携を確保するとともに、国、県及び他の地方公共団体との広域的な連携を推進すること。
(5) 本市が公害を経験し、産業振興と環境保全を両立してきた都市であるという基盤を生かし、国内外の環境改善の取組に貢献するという認識の下に推進すること。
(6) 本市の今までの歩みを大切にし、本市の豊かな地域資源及び地域の魅力を国内外に向け効果的に発信するという認識の下に推進すること。
(市の責務)
第4条 市は、地域の魅力の創造及び発信に関し、総合的な施策を策定し、実施するものとする。
2 市は、市民等が相互に連携して、地域の魅力の創造及び発信に関する取組を進められるよう必要な支援を行うものとする。
(市民等の役割)
第5条 市民等は、地域資源を利用又は活用し、来訪者等に温かいもてなしの心で接する等、地域の魅力の創造及び発信に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。
2 市民等は、市が実施する地域の魅力の創造及び発信に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、地域の魅力の創造及び発信に関する事業の実施に積極的な役割を果たすよう努めるものとする。
2 事業者は、施設の整備、商品の開発、サービスの提供、情報の発信等により、来訪者の満足度の向上に努めるものとする。
(団体の役割)
第7条 団体は、団体及びその構成員の活動の円滑な推進に努めるとともに、他の団体との連携を図りながら、計画的かつ効果的な活動の推進に努めるものとする。
(助成措置)
第8条 市は、市民等が行う地域の魅力の創造及び発信に寄与する活動の促進を図るため、予算の範囲内において助成措置を講じるよう努めるものとする。
(情報の発信)
第9条 市は、市民等と連携し、多様な手段を効果的に活用し、国内外に向け、地域の魅力に関する情報の積極的な発信に努めるものとする。
(地域資源の発掘と魅力の創造)
第10条 市は、市民等と連携し、新たな地域資源の発掘及び魅力の創造に努めるものとする。
(来訪の促進)
第11条 市は、市民等と連携し、観光その他の多様な目的での来訪の普及に必要な施策を講じ、本市への来訪の促進を図るよう努めるものとする。
(地場産品の利用等の推進)
第12条 市は、市民等が乾杯、贈答、日常の利用等において、酒、茶、萬古焼その他の地場産品を利用し、又は活用することを推進するよう努めるものとする。
(市民の誇りともてなしの心の醸成)
第13条 市は、市民等が地域資源に対する誇りを持ち、来訪者に温かいもてなしの心を持って接することができるよう情報の提供その他の必要な施策を講じるよう努めるものとする。
(良好な景観形成)
第14条 市は、市民等と連携し、良好な景観を形成している自然、文化財等の保全、再生及び活用に努めるものとする。
2 市は、市民等と連携し、来訪者が本市に快適に滞在できるよう景観の保全に努めるものとする。
(利便性の向上)
第15条 市及び事業者は、高齢者、障害者、外国人等を含む全ての来訪者が安全かつ快適に来訪し、滞在できるよう利便性の向上に必要な施策を講じるよう努めるものとする。
2 市及び事業者は、公共施設及び中心市街地において、来訪者の情報通信の利便性の向上に必要な施策を講じるよう努めるものとする。
附則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。