○四日市市議会基本条例
平成23年3月31日
条例第1号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第6条)
第2章 議員の活動原則(第7条、第8条)
第3章 議案及び政策の審議及び調査(第9条~第19条)
第4章 市民との情報共有(第20条~第23条)
第5章 市民参加の促進(第24条~第26条)
第6章 議員間討議及び政策提案(第27条~第31条)
第7章 政治倫理及び議員報酬(第32条、第33条)
第8章 議会事務局等の充実(第34条、第35条)
第9章 見直し手続(第36条)
附則
地方議会は、二元代表制のもと、地方公共団体の立法機能及び事務執行の監視機能を併せ持つ議事機関として、その権能を発揮しながら、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すものである。平成12年のいわゆる地方分権一括法の施行に始まる地方分権の進展に伴い、その果たすべき役割や責務は重要性を増している。
四日市市議会は、市民から選挙で選ばれた議員で構成され、同じく市民から選挙で選ばれた本市の執行機関である四日市市長とともに、互いに市民の負託に応える責務を負っている。
四日市市市民自治基本条例(理念条例)(平成17年四日市市条例第1号)に基づく本市の意思決定機関である四日市市議会は、市民自治の実現により、市政の発展並びに市民の生活及び福祉の向上に寄与するために、以下に掲げる二つを推進するものとする。
一つは、「開かれた議会」として、市民との情報共有及び市民参加の推進であり、市政が直面する問題等を市民に明らかに示し、議会の議論の中に市民意見を反映する仕組みを構築する。
もう一つは、「言論の府」及び「立法の府」として、徹底した議論及び政策提言であり、議員間の討議を活性化するとともに、議論を尽くした上で多様な意見を集約し、政策立案及び政策提言を行う。
ここに、四日市市議会は、その基本理念、基本方針等を定め、市民、市の執行機関及び議会の関係を明らかにし、品格ある議会としてあるべき姿を定めるものとして、四日市市議会における最高規範であるこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、四日市市議会(以下「議会」という。)の基本理念、基本方針その他の議会に関する基本的事項を定めることにより、議会がその権能を発揮し真に市民の負託に応え、もって市政の発展並びに市民等の生活及び福祉の向上に寄与することを目的とする。
(1) 市民 本市の区域内に居住する者
(2) 市民等 市民のほか、本市の区域内に存する事業所等に勤務する者及び本市の区域内に存する学校に通学する者
(3) 市長等 市長その他の市の執行機関の長
(本条例の位置付け)
第3条 この条例は、四日市市市民自治基本条例(理念条例)(平成17年四日市市条例第1号。以下「市民自治基本条例」という。)の規定に基づく条例であり、議会に関するすべての例規に先んずる、議会における最高規範である。
(一部改正〔平成23年条例25号〕)
(基本理念)
第4条 議会は、市民から選挙で選ばれた議員で構成する市の意思決定機関として、その自覚と誇りを持ち、市民自治の考えを基本に真の地方自治の実現に全力を挙げるものとする。
(1) 議会及び市政について、市民との情報共有を図ること。
(2) 議会活動の諸場面において、市民参加を推進すること。
(3) 議員間の討議を大いに活性化し、政策立案及び政策提言を行うこと。
(議会の位置付け)
第6条 議会は、市民の代表者である議員で構成する議論の場であり、市長等の行政運営に関する監視機能、検査機能並びに政策立案機能及び政策提言機能を併せ持ち、予算及び決算の議決をはじめとした、市政に係る様々な事件についての意思決定を行う議事機関である。
第2章 議員の活動原則
(議員の活動原則)
第7条 議員は、市民の負託を受けて議員に選出されたことを自覚し、議員として必要な資質の向上に努めるとともに、誠実かつ公正な職務の遂行に努めなければならない。
2 議員は、市民の多様な意思を的確に把握し必要な政策立案及び政策提案を行うとともに、議会活動について市民に対して説明に努めなければならない。
(会派)
第8条 議員は、議会活動を円滑に実施するために、会派を結成することができる。
2 会派は、議員の活動を支援するとともに、政策立案及び政策提言のために調査研究を行い、必要に応じて会派間の調整に努めるものとする。
第3章 議案及び政策の審議及び調査
(通年議会)
第9条 議会は、定例会の回数を年1回とし、会期を通年とする。
2 常任委員会は、精力的に所管事務調査を行うものとする。
3 議会の会期を通年とする必要な事項は、別に定める。
(議会の議決事件)
第10条 議会は、行政に対する監視機能を強化するため、地方自治法 (昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定により特に重要な計画等を議決事件として加えるものとする。
(1) 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第42条第1項に規定する地域防災計画の策定及び変更に関すること。
(2) 水防法(昭和24年法律第193号)第33条に規定する水防計画の策定及び変更に関すること。
(3) 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の8第1項に規定する老人福祉計画の策定及び変更に関すること。
(4) 介護保険法(平成9年法律第123号)第117条第1項に規定する介護保険事業計画の策定及び変更に関すること。
(5) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第18条の2第1項に規定する都市計画に関する基本的な方針のうち、全体構想の策定及び変更に関すること。
(6) 市民自治基本条例第18条に規定する総合計画のうち、基本構想及び基本計画の策定及び変更に関すること。
(一部改正〔平成23年条例25号・24年1号〕)
(政策提案の説明要求)
第11条 議会は、市長が提案する重要な政策、計画、事業等(以下本条において「政策等」という。)について、市長に対し、次の各号に掲げる事項の説明を求めるものとする。
(1) 政策等の背景、目的及び効果
(2) 総合計画等における根拠又は位置付け
(3) 関係ある法令、条例等
(4) 政策等の実施に係る財源措置及びコスト計算
(質問)
第12条 議員は、本会議において、代表質問、一般質問、関連質問及び緊急質問(以下本条において「質問」という。)を行うことができる。
2 議員は、代表質問、一般質問及び緊急質問を行う場合においては、質問事項を議長に通告しなければならない。
3 議員は、質問を行う場合においては、市政における論点及び争点を明確にするために、対面による一問一答方式等で行うことができる。
4 その他質問に関し必要な事項は、別に定める。
(反問権)
第13条 本会議及び委員会において、議員の質問に対し答弁をする者は、論点を明確化し議論を深める目的で反問することができる。
(発言の取消し勧告)
第14条 議長又は委員長は、本会議又は委員会において不穏当な発言を行った者に対し、発言の取消しを勧告することができる。
(専門的知見の活用)
第15条 議会は、法第100条の2に規定する学識経験を有する者等による、議案の審査又は本市の事務に関する調査のために必要な専門的事項に係る調査を活用して、討議に反映させるよう努めるものとする。
(文書質問)
第16条 議員は、議案、政策、施策等をより深く理解するために、議長を経由して市長等に対し文書質問を行うことができる。
2 議長は、前項の文書質問があったときは、速やかにこれを市長等に送付しなければならない。
3 市長等は、前項の規定により送付された文書質問に速やかに応えなければならない。
(附帯決議)
第17条 市長等は、議会との信頼関係を重んじ、本会議及び委員会において可決された附帯決議を最大限尊重するとともに、当該附帯決議に関する事後の状況、対応等を遅滞なく議会に報告しなければならない。
(採択請願への対応)
第18条 市長等は、議会が採択した請願のうち、議会が市長等において措置することが適当と認めるものについて、その趣旨を実現するよう努めるとともに、当該請願に関する事後の状況、対応等を遅滞なく議会に報告しなければならない。
(政務活動費)
第19条 会派又は議員は、政策立案能力及び政策提言能力の向上等を図るため、法第100条第14項に規定する政務活動費を有効に活用し、積極的に調査研究及びその他の活動を行うものとする。
2 会派又は議員は、四日市市議会政務活動費の交付に関する条例(平成25年四日市市条例第5号)第5条に規定する政務活動費を充てることができる経費の範囲において、政務活動費を適正に執行し、常に市民に対して使途の説明責任を負うものとする。
(一部改正〔平成25年条例1号・29年1号〕)
第4章 市民との情報共有
(情報共有)
第20条 議会は、議会活動に関して市民等に対し情報を公開し、市民等と情報の共有に努めなければならない。
(会議の公開)
第21条 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会及び各派代表者会議その他の議会内会議を原則公開とするとともに、市民等の傍聴を促進する積極的な取組を進めるものとする。
(議長の情報発信)
第22条 議長は、議会における決定事項について、積極的な情報の発信に努めなければならない。
(報告会等)
第23条 議会は、議会活動について市民等に対し報告等を行う場(以下、本条において「報告会等」という。)を設け、情報提供及び情報共有に努めなければならない。
2 報告会等に関し必要な事項は、別に定める。
第5章 市民参加の促進
(公聴会等)
第24条 議会は、法第115条の2に規定する本会議における公聴会制度及び参考人制度並びに法第109条第5項において準用する法第115条の2の規定に基づく常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会における公聴会制度及び参考人制度を活用して、市民等及び有識者の専門的又は政策的識見等を討議に反映させるよう努めるものとする。
(一部改正〔平成25年条例1号〕)
(市民意見の反映)
第25条 議会は、議員提案条例等に関し、パブリックコメントの実施等様々な手法により、市民等の意見を反映させるよう努めるものとする。
(請願趣旨の聴取)
第26条 委員会は、請願の審査に当たって、請願趣旨を十分に理解するために、紹介議員又は請願者からの意見聴取の機会を設けることができる。
第6章 議員間討議及び政策提案
(議員間討議及び意見集約)
第27条 議員は、あらゆる会議において、自らの意見、考えを丁寧に述べるとともに、他の意見に対しても真摯に耳を傾け、議員間での討議を尽くさなければならない。
2 議長、委員長等は、議員間での討議を中心に会議を運営し、その結果を市政に反映させられるよう意見集約に努めるものとする。
(政策提言等)
第28条 議会は、議員間討議を尽くし、意見集約がなされた内容について、政策提言及び条例制定の提案に努めるものとする。
(調査機関の設置)
第29条 議会は、議会活動及び政策の重要案件に関する調査のため必要があると認めるときは、議決により、学識経験を有する者等で構成する調査機関を設置することができる。
2 前項の調査機関に関し必要な事項は、議長が別に定める。
(議会意見の反映)
第30条 市長等は、予算及び政策の策定過程において、議会で集約された提言及び意見を、政策及び予算案に可能な限り反映させるものとする。
(一部改正〔令和2年条例1号〕)
(議員研修)
第31条 議会は、議員の政策立案能力及び政策提言能力の向上を目的に、各種の研修を積極的に実施しなければならない。
第7章 政治倫理及び議員報酬
(政治倫理)
第32条 議員は、選挙で選ばれた市民の代表として、高い倫理観を持ち、品位の保持に努めなければならない。
(議員報酬)
第33条 議員報酬は、市民の負託に応える議員活動への対価であることを基本とし、定められなければならない。
2 議会は、議員提案に係る議員報酬の改定に当たっては、公聴会の活用等により市民等の意見の聴取及び反映に努めなければならない。
第8章 議会事務局等の充実
(議会事務局)
第34条 議会は、議員の政策立案機能及び政策提言機能を高めるため、議会事務局の機能強化及び組織体制の充実に努めるものとする。
2 議会事務局職員は、常に議会の活性化、充実及び発展を心がけ、行動するものとする。
(議会図書室)
第35条 議会は、議員の調査研究に資するため議会図書室を設置し、その充実に努めるとともに、誰もが利用できるものとする。
第9章 見直し手続
(見直し手続)
第36条 議会は、一般選挙を経た任期開始毎に、社会情勢の変化等を勘案し、この条例の規定について検討を加えるとともに、見直しが必要と判断したときは、市民等の意見を聴取し、適切な措置を講ずるものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成23年5月1日から施行する。
(四日市市議会定例会の招集回数に関する条例及び四日市市議会の議決すべき事件を定める条例の廃止)
2 次の各号に掲げる条例は、廃止する。
(1) 四日市市議会定例会の招集回数に関する条例(昭和31年四日市市条例第21号)
(2) 四日市市議会の議決すべき事件を定める条例(平成13年四日市市条例第24号)
(議決事件に該当しない契約についての報告に関する条例の一部改正)
3 議決事件に該当しない契約についての報告に関する条例(平成14年四日市市条例第25号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)
(四日市市土地開発公社の健全経営に関する特例条例の一部改正)
4 四日市市土地開発公社の健全経営に関する特例条例(平成20年四日市市条例第18号)の一部を次のように改正する。
(次のよう略)
附則(平成23年7月12日条例第25号)
この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成23年法律第35号)の施行の日から施行する。
附則(平成24年3月28日条例第1号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成25年2月26日条例第1号)
この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する政令で定める日から施行する。ただし、第24条の規定は、公布の日から施行する。
附則(平成29年3月24日条例第1号抄)
(施行期日)
1 この条例は、平成29年4月1日から施行する。
附則(令和2年3月25日条例第1号)
この条例は、公布の日から施行する。