○四日市市市民自治基本条例(理念条例)

平成17年2月4日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則(第1条~第3条)

第2章 市民の役割(第4条、第5条)

第3章 市の執行機関の役割(第6条~第10条)

第4章 市議会の役割(第11条~第14条)

第5章 行政運営に関する基本姿勢(第15条~第21条)

第6章 市民投票(第22条)

第7章 条例の位置付け等(第23条、第24条)

第8章 委任(第25条)

附則

私たちのまち四日市は、鈴鹿山脈や伊勢湾などの素晴しい自然に恵まれ、宿場町として、また古くから「市」が開かれたまちとして栄えてきました。現在では、世界に開かれた四日市港を基盤として石油化学コンビナートや各種産業が集積しており、万古焼、お茶、そうめんなどの地場産業とあわせて盛んな生産活動が行われる活気あふれる都市としてさらに発展しています。

本市は、長らく国の指導のもとに画一的行政運営を行ってきましたが、既にこれまでの行政運営の限界が明らかとなってきています。本来、四日市のことは私たち自らが責任を持って決定するものでなければなりません。そこでは、本市が、本市の地域特性を踏まえた、行政運営を行うにあたっての拠りどころとなる条例を新たに定めることが必要となってきています。

また、本市が今後も三重県下最大の人口を有する中核都市として発展を続けていくためには、新しい無駄のない行政運営を行うこととともに、市民憲章の精神を活かして市民にとって暮らしやすいまちづくり、住み続けたいまちづくりを行っていくことが求められます。

従って、これからの時代にふさわしい、四日市市市民自治基本条例(理念条例)の制定により、市民主権の市政の実現を宣言し、その実現に向けた行政運営のあり方及び市民、市の執行機関及び市議会の役割や協働のあり方を明らかにすることで、市民誰もが様々な形で市政に参加し、市の執行機関や市議会とともにより良い四日市の「まちづくり」を担っていけるような仕組みを作り上げることで、豊かで人権が尊重される地域社会の実現を目指していくものです。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市の行政運営に関する基本理念を定めるとともに、市民等、市の執行機関及び市議会の役割を定めることにより、市政における協働のあり方を明確にし、もって地方自治の本旨に基づく市民自治を実現することを目的とします。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによります。

(1) 市民 本市の区域内に居住する者をいいます。

(2) 市民等 市民のほか、本市の区域内に存する事業所等に勤務する者及び本市の区域内に存する学校に通学する者をいいます。

(3) 事業者 本市の区域内に事業所、営業所その他の施設を設置し、事業活動を行うものをいいます。

(4) 市の執行機関 市長のほか、教育委員会及び消防本部をいいます。

(5) 市長等 市長その他市の執行機関の長をいいます。

(6) 市議会 市議会議員をもって構成される本市の意思決定機関をいいます。

(7) 市民参加 市民が、市の行政運営(地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第3項の規定により市が処理するものとされている事務を執行する際に、市の執行機関が行う活動をいいます。以下同じ。)に主体的に参加し、市の政策に関する計画、実施及び評価の過程において、自己の意思を反映させるために意見を述べ、又は提案することをいいます。

(8) 市民自治 市民、市の執行機関及び市議会が、市民参加を適正に行うことにより、それぞれの役割に応じて連携、協働して豊かな地域社会を実現することをいいます。

(一部改正〔平成23年条例25号〕)

(基本理念)

第3条 市民、市の執行機関及び市議会は、相互に協力して市民自治の実現に努めるものとします。

2 市民、市の執行機関及び市議会は、それぞれの立場及び特性を理解し、相互の信頼関係を保持するように努めるとともに、それぞれの意思を尊重するものとします。

3 市民、市の執行機関及び市議会は、常に平等公正を旨とし、人種、信条、性別、社会的身分又は門地を理由にした差別の根絶に全力を尽くすものとします。

4 市民、市の執行機関及び市議会は、市の行政運営及び市議会の運営に関する情報を共有し、公正かつ効率的な市政の実現に努めるものとします。

第2章 市民の役割

(市民の権利)

第4条 市民は、この条例に定めるところにより、次の各号に定める権利を有します。

(1) 市の行政運営に関する情報を知る権利

(2) 市の政策の立案から評価に至る過程において自己の意見を表明し、かつ、市の意思形成に関与する権利

(市民の責務)

第5条 市民は、前条に規定する権利を保有していることを自覚し、積極的に市の行政運営に参加するよう努めるものとします。

2 市民は、前条に規定する権利の行使に当たり、他の市民の意思及び意見を尊重するよう努めるものとします。

3 市民は、自らの発言及び行動に責任を持つとともに、本来の目的を逸脱して他の目的のために前条に規定する権利を濫用することのないよう努めるものとします。

4 事業者は、市民自治の実現に協力するとともに、その従業員たる市民が前条に規定する権利を行使しようとするときは、可能な限り便宜を図るよう努めるものとします。

第3章 市の執行機関の役割

(意向の把握等)

第6条 市の執行機関は、基本理念にのっとり行政運営に当たるとともに、行政運営に対する市民等の満足度を高めるため、常に市民等及び市議会の意向の把握及びその意向の尊重に努めるものとします。

(情報の公開)

第7条 市の執行機関は、市民参加を推進するため、行政運営に関する情報を多様な媒体を用いて積極的に公開するよう努めるものとします。

(説明責任等)

第8条 市の執行機関は、市民等に対して、行政運営の内容を明確かつ平易に説明するよう努めるものとします。

2 市長は、市議会に対して、行政運営の状況を随時報告するとともに、市議会から行政運営の状況について報告するよう要求があったときは、速やかに当該行政運営の状況について報告するよう努めるものとします。

(市民参加の実施等)

第9条 市の執行機関は、別に条例及び規則を定めることにより市民等から募集した意見を市の政策形成に反映させることを目的とする制度その他市民参加にかかる制度を導入し、政策の立案、実施及び評価の各過程において、市の行政運営に市民等の意見を可能な限り反映させるよう努めるものとします。

(市長等の責務等)

第10条 市長等は、所管の事務を管理し、又は執行するに当たっては、この条例の趣旨を尊重し、誠実かつ公正に職務を遂行するよう努めるものとします。

2 市長等は、職員を適切に指揮監督するとともに、職員の知識と能力の向上を図り、効果的かつ効率的な組織運営に努めるものとします。

3 市の執行機関の職員は、全体の奉仕者として誠実かつ公正に職務を遂行するとともに、政策の立案及び遂行に関する能力の向上に努めるものとします。

第4章 市議会の役割

(市議会の責務)

第11条 市議会は、本市の意思決定機関としての責任を自覚するとともに、行政運営に関する監視機能、検査機能及び政策立案機能の充実を図り、市民自治の推進に努めるものとします。

(議長の責務)

第12条 市議会の議長(以下「議長」といいます。)は、誠実かつ公正な職務遂行に努めるとともに、効果的かつ効率的な議会運営を図るよう努めるものとします。

2 議長は、市議会の事務局職員を適切に指揮監督するとともに、市議会の事務局職員の知識と能力の向上を図るよう努めるものとします。

(市議会議員の責務)

第13条 市議会議員は、市民の負託を受け市議会議員に選出された責任を自覚し、政策形成能力その他の市議会議員として必要な能力の向上に努めることにより、誠実かつ公正な職務遂行に努めるものとします。

2 市議会議員は、公職選挙法(昭和25年法律第100号)その他の関係法令を遵守し、市民の信頼を確保するとともに、清浄かつ健全な市政の発展に寄与するよう努めるものとします。

(情報の公開等)

第14条 市議会は、市民との情報の共有を推進するため、市議会が保有する情報を公開するとともに、本会議、委員会等の会議の公開その他積極的な情報提供の手段を用いて開かれた議会運営を行うよう努めるものとします。

2 市議会は、市民参加を推進するため、市民の意見を市議会運営に反映させることを目的とする制度その他の市民参加にかかる制度を導入するよう努めるものとします。

第5章 行政運営に関する基本姿勢

(個人情報の保護)

第15条 市の執行機関は、基本的人権の擁護及び公正で民主的な行政運営を図るため、個人に関する情報の収集、利用、提供、管理その他の取扱いを適正に行うものとします。

(手続の適正性確保)

第16条 市の執行機関は、公正かつ民主的な行政運営の推進を図るため、市が行う処分及び行政指導並びに市への届出に関する手続を適正に行うものとします。

(苦情等の処理)

第17条 市の執行機関は、市民等から行政運営に関する意見、要望又は苦情が提出されたときは、事実関係の調査に着手し、その結果を速やかに提出者に回答するよう努めるものとします。

(総合計画)

第18条 市の執行機関は、総合計画(本市における総合的かつ計画的な行政の運営を図るために定める基本構想並びに基本構想を具体化するため行政運営の基本方針等を定める基本計画及び推進計画で構成されるものをいいます。)を作成し、効果的かつ効率的に市の施策を推進するとともに、その進捗状況を公表するものとします。

(一部改正〔平成23年条例25号〕)

(行政評価)

第19条 市の執行機関は、効果的かつ効率的な行政運営を推進するため、行政評価を実施し、その結果を公表するものとします。

(財政運営等)

第20条 市の執行機関は、中長期的な展望に立ち、自主的かつ健全な財政運営を行うよう努めるものとします。

2 市の執行機関は、予算、決算その他の財政状況(以下この項において「財政状況」といいます。)を公表するとともに、市民等に財政状況を平易に説明するものとします。

(執行体制の整備)

第21条 市長等は、社会情勢の変化及び本市が直面する課題に対応するため、並びに市民等及び市議会からの要求に的確に対応するため、その組織及び機構の妥当性を絶えず検証し、効果的で効率的な執行体制を整備するとともに、必要に応じて組織横断的な調整を図り、適切な対応を行うよう努めるものとします。

第6章 市民投票

第22条 市は、市政に係る重要事項について、直接、市民の意見を確認するため、別に条例を定めることにより、市民投票を実施することができます。

第7章 条例の位置付け等

(条例の位置付け)

第23条 この条例は、市の行政運営に関する基本理念を定めたものであり、市が他の条例を制定又は改正するときは、この条例の趣旨を尊重し、この条例の規定との整合性を確保するよう努めるものとします。

(条例の見直し)

第24条 市長は、この条例の施行から4年を超えない期間ごとに、この条例第1条に規定する目的を達成するに適当であるか否かを検討するとともに、必要と認めたときは、条例の改正その他の適切な措置を講じるものとします。

第8章 委任

第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に規則で定めます。

この条例は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において、市長が規則で定める日から施行します。

(平成17年8月規則第67号で、同年9月1日から施行)

(平成23年7月12日条例第25号)

この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成23年法律第35号)の施行の日から施行する。

四日市市市民自治基本条例(理念条例)

平成17年2月4日 条例第1号

(平成23年8月1日施行)