HOME >> 新春インタビュー/臨海部工業地帯の再生と活力あるまちづくり 2003/1月上旬
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 新しい年を迎えました。わが国の経済は依然として停滞し、その構造の転換が求められています。工業都市として発展してきた本市も新しい時代に合った取り組みが必要となり、特に市の発展を支えてきた臨海部工業地帯の再生に大きな期待が掛かっています。これからの豊かで快適なまちづくりの活力源としていくため、その再生にどのように取り組んでいくのか、市の広報番組「ちゃんねるよっかいち」(CTY・10ch)の市民リポーター・伊藤泰代さんが市長に聞きました。
 わが国は今、少子化、高齢化が加速度的に進んでいます。一方、経済の停滞が続き、回復がなかなか見込めません。そのような中で安全で安心して暮らせるまちづくりを進めるには、社会の変化に対応した新しいシステムづくりが必要です。
 行政に対するニーズもますます多様化し、それに応えるには行政基盤を確立し、さらに行政サービスを充実させなければなりません。
 一方、充実した行政サービスを支えるためには財政基盤の強化も必要です。それには財政の効率的な運営を図るとともに産業の活性化が不可欠です。こうしたことにより、豊かな市民生活を支える基礎となる産業の持続的な発展、そして均衡の取れた産業構造の構築が求められています。
<語り手> 井上哲夫 市長
<聞き手> 市民リポーター 伊藤泰代 さん
 本市は、工業と共に発展してきたまちです。臨海部には全国で最初の石油化学コンビナートができ、国の経済発展にも貢献してきました。また、同時に公害問題などの環境面でも多くのことを学びました。今、わが国全体が構造転換を求められる中、臨海部工業地帯の産業も従来型からの脱皮を図り、新たな展開を求められています。雇用を生み、消費を刺激し、市全体の活性化につなげるために、この地域の再生と発展を図ることが大きな課題の1つです。
 本市の石油化学コンビナートは臨海部に第1、第2、第3と3つのエリアに広がっています。特に塩浜地区を中心に展開するいわゆる第1コンビナートは、昭和30年代に稼働した、現存する全国で最も古いコンビナートです。石油化学コンビナートは、石油を精製する過程で生まれるナフサを原料にしてエチレンを製造し、それからプラスチックや合成繊維、合成ゴムなどの原料となるポリエチレンやポリプロピレンといった、誘導品を大量に生産する構造です。
 こうした従来型の基礎素材産業ではコスト高で、生産性も低く、競争力の点で国内のほかのコンビナート地域に遅れをとってきているのが実情で、一昨年1月には、第1コンビナートのエチレンセンターが停止しました。
 しかし、その反面「ポスト・コンビナート」の時代を一番早く迎えたため、新しい展開の可能性が極めて高い地域とも言えます。

 今、さまざまな分野での技術革新が進む中で、従来にない機能や特性を備えた新素材(機能化学品)へのニーズが高まっています。本市のコンビナート企業には、これまでに培った技術力・開発力の蓄積が豊富で、こういった新しい領域への進出を図ることが可能です。
 また、近接地域にその機能化学品を必要とする電気・電子産業や液晶産業、自動車産業、メディカル関連産業などが広がっています。それらの産業との連携を強化し、高付加価値型産業や燃料電池・環境産業といった新たな分野への展開も可能です。
 例えば、整髪用のムースの成分や紙おむつに使われる吸水材などがあります。また、金属よりも軽く加工性にも優れたエンジニアリングプラスチックといわれる製品は、軽量化が進む自動車に欠かせません。ほかにも携帯電話などに使用されるリチウム電池の電解液など、私たちの生活にとても近いところで四日市発のいろいろな製品が活躍し始めています。
 機能化学品生産の特徴は、消費者のニーズに応える製品をユーザー企業と共に開発することで付加価値を高め、世界をマーケットとして飛躍的な成長ができることです。これにより、国際競争力を持った新たな産業を本市に誕生させることができます。
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