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◆人権施策推進プラン

□ 「よっかいち人権施策推進プラン」について

平成16 年10 月13 日
四日市市長井上哲夫様
四日市市差別を無くすことを目指す審議会
会長尾畑文正

「よっかいち人権施策推進プラン」について(答申)

平成15 年10 月30 日付け人権第71 号で諮問のあった「よっかいち人権施策推進プラン」について、次のとおり答申します。

基本理念

 「四日市市差別を無くすことを目指す審議会」では、四日市市長から諮問のあった「よっかいち人権施策推進プラン」について、平成15 年10 月30 日を第1 回として、 平成16 年10 月13 日まで、審議会9 回、部会延9回にわたり、四日市市がこれまでに進めてきた人権施策を検証し、委員の持つ知識や経験、あるいは日頃の気付きや思いを 出し合う中で、今後の人権施策のあり方について議論を重ねてきました。
 人権の世紀と言われる21 世紀になって、国や地方公共団体では「人権意識の高揚に向けての取り組み」を重要な課題としてさまざまな取り組みを行っています。四日市市も例外ではなく、 人権尊重都市宣言、部落差別をはじめとするあらゆる差別を無くすことを目指す条例の制定、人権教育のための国連10 年四日市行動計画の推進、四日市市人権教育・啓発基本方針の策定と これらに関連する各分野での計画を含めると、市としての取り組みには多くのものがあります。「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」を受け、国では「人権教育啓発に関する基本計画」を策定しており、四日市市においても基本的にはこの「基本計画」に沿った施策の推進が図られるべきです。
 しかし、項目としては多岐多様に渡っており、同時期にすべて実施に移すことは困難であり、順次計画的に実施していく必要があります。
 人権施策の実施にあたっては、人権施策は財政状況に左右されることなく、行政責任において取り組むべき重要課題であることを明確にしておくことが必要です。行政責任を放棄すること なく人権施策を実施していくことを確認すると同時に、的確で効果の上がる部分も多い民間や市民グループによる活動の活性化に期待するところが大きいと思われます。したがって、 多様な市民グループなどの取り組みを行政が資金援助する形で実施されることが望ましいと思われます。
 さらに、人権課題はすべての人の課題であり、市民一人ひとりが人権施策の主体者であることを確認するとともに、人権を侵害されてきたマイノリティ1当事者の視点から人権課題および人権 施策を捉えていくことの必要性を再確認する必要があります。そのためには、マイノリティ当事者であることによって受ける政治的・経済的・社会的・教育的・文化的影響を解決するための人権施策 を行政責任のもとで実施していくことが必要です。
 また、人権課題は意識の問題と捉えられがちですが、人権侵害を生み出し支える根本的な社会の仕組みや構造的な問題の解決に向けた取り組みも必要です。
人権が侵害されたときに対応するだけでなく、すべての人の人権が守られていなければ社会がうまく機能しない、マイノリティとともに生きる方が多文化を尊重する社会にとって大きな意味がある、 との視点に立った人権施策の採用が求められています。
 と同時に、人権侵害を放置・無視していることは、不作為による政治的・行政的責任の問題であることを認識し、推進プランの策定にあたっては、年限目標、達成目標、数値目標などを設定しながら、 できる限り速やかに実施すべきであります。
 当審議会では、そのような視点から、今後の四日市市が具体的に取り組むべき「人権施策」について、@優先度(速やかに実施すべき施策・できるだけ早く取り組むべき施策・実施に向け検討をすべき施策)と、 A施策実施の方策(行政責任において実施すべき施策・行政と市民グループが協働して実施すべき施策・市民グループなどの取り組みに委託し援助すべき施策)の2方面から検討を加えました。その結果を、 次の提言として取りまとめ答申として報告します。
 なお、本答申に基づき市では「よっかいち人権施策推進プラン」の策定に臨まれることと思いますが、提言の中にはできるだけ速やかな実施が望まれる施策が多く含まれており、関係課において積極的な取り組みに移されることを希望します。
 また、今後の「人権施策」の推進にあたっては、本答申の趣旨を十分尊重されることはもとより、市行政のみにてこれを検討遂行するのではなく、市民及び市民グループ、人権を侵害されやすい立場の人々及び その団体、各種専門家で構成される「(仮称)人権施策推進懇話会」を組織され、公平で透明性のある実施プランの策定や実施状況の点検・検討・見直し・評価の各作業を定期的に行われるよう進言します。

四日市市の人権施策推進に向けた提言

1.人権に関する相談・支援の充実
2.人材の育成と当事者のエンパワメント
3.教材などの開発と人権学習センターの充実
4.人権のまちづくりに向けた諸課題
5.人権施策の推進体制

1.人権に関する相談・支援の充実

 人権施策としてまず重要なことは、人権を侵害された人に対する相談・救済を実施することです。これまで家庭内の問題とされたドメスティック・バイオレンス(DV)2や子どもへの虐待が人権相談を契機として、 社会的・政治的問題として認識されるようになり、法的整備がなされたように、人権相談は社会に生じている問題・課題を把握する重要な施策と言えます。人権を侵害されたあるいは侵害される恐れのある人の相談を真摯 に受け止め、救済の手立てを講じるとともに、相談に行くことのできない人にアウトリーチ3していくための仕組みを創設・充実させながら、同じような人権侵害の再発を防止する施策を作っていくことが必要です。
 そのために、以下の施策の実施を提言します。
(1) 相談員の資質向上
(2) 相談場所の確保・アウトリーチ・PRと民間活動への支援
(3) 相談窓口のネットワーク化とコントロールセンターの設置
(4) 相談情報を施策につなげるシステム作り

(1) 相談員の資質向上【速やかに実施すべき施策】
◎現状◎
 現在、市には多くの相談窓口が設けられていますが、「専門の相談員」を配置している相談所は限られており、 市職員、嘱託職員(市職員0Bを含む)などが十分な相談員研修を受けないまま相談を担当しているところが 見受けられます。また、体系的な「相談員に対する研修」も実施されていません。そのため、二次被害・三次被害 が起きてくる可能性があります。

◎課題と施策◎
 相談員には、問題解決・救済につなげるコーディネート能力が求められます。
そのためには、守秘義務といった基本的なことも含めて相談員のスキルアップを図ることが必要です。また、 相談員には同情ではなく親身になって相談者の気持ちを汲み取れる人権尊重と共感・理解の姿勢が大切です。
 そうしたことから、個人的な親切に寄りかかった相談から専門職化が求められており、@専門の相談員として 雇用し社会的認知と公的保障を整備すること。A人権をベースに、性・子ども・障害者・高齢者・定住外国人・ 民族問題・難病・同和問題などの諸問題とそれらを複合的に捉えることのできる専門知識とカウンセリング技術を 身に付ける研修を実施するとともに、相談員が自らの資質を検証・向上し続ける機会を保障すること。B精神的な サポートの重要性を考えると、特にピアカウンセリング4の果たす役割は高く、当事者の体験を活かせる相談員を 配置することも必要です。
 そうした相談員を確保し育成する財政措置を含めたインフラ整備を講じなければなりません。

(2) 相談場所の確保・アウトリーチ・PRと民間活動への援助 【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
 市広報には各種相談窓口の掲載がありますが、相談員の資質によるところもあって複数の窓口を転々とする相談者が見られます。また、相談場所が市役所の執務室内であったり人目に触れやすいところであったりして 相談者のプライバシー保護に問題があります。
 NPO活動については、人権相談・救済活動を行う団体が把握されていない上、財政的な援助は予算化されていません。

◎課題と施策◎
 相談者の多くが複数の相談窓口を訪れている現実を直視し、すべての相談窓口が「ワンストップサービス」窓口として相談者を受け止める必要があります。
どこに相談したらいいかということも十分には知らされていないため、四日市市でどのような人権侵害があったかという情報を相談者のプライバシーに配慮しながら発信することを含めて、相談場所を周知しなければいけません。 基本的に、相談者のプライバシーが守られやすい場所の確保が大切であり、市の設置している相談場所の再点検が必要です。
 さらには、相談以前に言葉の壁を持っている外国籍住民や相談に行くことのできない人のために、当事者と一緒に行って通訳や補助を行う「人権のガイドヘルパー」を設置したり、地域の民生委員や人権擁護委員と協力して相談を 必要としている人を発見し、早急な救済を講じることが必要です。
 また、相談や救済は行政でできないところをカバーする民間や市民グループの働きが大切であります。公的責任も放棄することなく、行政は活動の場所の提供や資金援助を含めたインフラ整備を行って、そうした民間や市民グループ の活動を育て広げていくことが必要です。

(3) 相談窓口のネットワーク化とコントロールセンターの設置 【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
 市では「人権相談ネットワーク構築事業」を予算化していますが相談窓口の組織化には到っていません。子ども の虐待防止の取り組みとしては、「児童虐待防止事業」として行っている「四日市市子ども虐待防止ネット ワーク会議」があります。しかし、最近の各地の実情を見ると、何度も子どもたちを救える機会があったにも かかわらず、子どもたちのSOSに気づかず放置したり、通報が生かされずに子どもたちを救えなかったという ケースが多く見られます。

◎課題と施策◎

 各相談窓口が各々に対応している現状を改善するために、相談所及び相談員間のネットワークを作り、 情報交換・役割分担・対策協議などの日常的および緊急的な連携が取れる体制づくりが必要です。各 相談員が他の相談窓口に関する情報を知っていることは相談を受ける力の増強になります。個人情報の 保護に十分配慮しながら、相談内容をマニュアル化したり、相談データを相談員間で共有するなど、 相談を点でなく線や面で受け止める仕組みを作る必要があります。
 そのために、相談窓口の横のつながりを束ね情報を集約配信する役割のコントロールセンターを設置して、 そこには、相談員の相談やケアができる機能も持たせるべきです。
 また、人権侵害事案の最初の発見者は地域住民です。地域住民が抱える問題の発見や解決を促すために、 地域住民自身が地域住民間の新しいつながりづくりを学び実践することのできる場や機会を住民と行政 との連携のもと創造していくことが必要です。また、問題を発見したときにどこに知らせたらいいのか、 知らせを受けたらどうしたらいいのか、警察や各種相談所を含めた機関に関する情報を周知し、救済の ネットワーク体制やフォローアップ体制を併せて整備する必要があります。

(4) 相談情報を施策につなげるシステム作り 【検討すべき施策】
◎現状◎
 「人権相談ネットワーク構築事業」の関連ですが、相談情報を施策に活かす施策を検討するまでには 到っていません。

◎課題と施策◎
 相談内容を分析し、そこから市民が必要としているニーズ6を把握して、解決のための施策につなげて いくシステム作りが必要です。相談を受けるだけでなく、事態が改善されるように、施策を行うところへ 情報として集約したり、問題解決のための新たな施策を提言すべきです。民間も含めて人権相談の部署や 場所が多岐にわたる中で、行政の人権担当部署が施策を整理し展開する役割を担うべきです。


2.人材の育成と当事者のエンパワメント

 人材育成が必要であることは繰り返し強調されていますが、何のためにどういう人材を育成していくのか、 リーダーが育成されたならばどういう場所で活かしていくのかという視点が不足していました。研修会や 講座は対象者と目的をはっきりさせることが求められます。
 特に、当事者に向けてはエンパワメント7の取り組みが不十分で、当事者の中に、人権施策を企画・運営 していく主体としてのリーダーを育成する取り組みが十分とは言えませんでした。その結果として、当事 者は保護されるべき対象者であり差別を受ける被害者であるという認識が当事者と市民や行政の意識となって おり、当事者の自立を妨げる大きな原因になっています。今後は、当事者がいろいろな計画作成やプロジェクト 主体者として参画する体制をつくっていく中で、当事者の自尊感情を高め、牽いては誰もが人権の主体である という当事者主権の考えを広めていくことが必要です。
 そのために、以下の施策の実施を提言します。
(1)人権が侵害されやすい人々のエンパワメント
(2)生涯学習の視点で考える人権教育・啓発の推進
(3)人権にかかわりの深い職種での人材育成
(4)人材バンク・人材登録

(1)人権が侵害されやすい人々のエンパワメント【速やかに実施すべき施策】
◎現状◎
人権を侵害されやすい人々の周囲に向けては「差別はいけない」という形の啓発活動がなされてきましたが、 当事者に対しては「四日市人権・同和教育研究会」8の活動に対する援助や隣保館・教育集会所における 学習会、女性センターによる取り組みがあるものの当事者のエンパワメントに関する施策は乏しいのが現実です。
当事者が参画し当事者の思いを企画や計画に直接的に取り入れているものは少なく、第3者が当事者の思いを 汲み取る形で施策を作っている状況にあります。

◎課題と施策◎
 市民の誰もが人権施策の主体であり、一人ひとりが自分の置かれている立場を見つめ直しながら、自分の 人権を自覚し守り自分を取り巻く人々と連帯していく力をつける必要があります。自分たちが抱える課題 や困難を当事者自身が認識し、自覚し、意識化していく力や、他者との協働の取り組みの中でそれらを 解決していく力をつけていくために、人権を主体的に学び、考え、対話し、行動するための取り組みが 求められています。誰かによって力を与えられるのではなく、教材作りやまちづくりに自主的・主体的に 参画することで、内から沸き起こる力をつけていくことが大切です。
 そのために、自分たちの抱えている課題や困難の原因となったり、それらに影響を及ぼしている個人的要因 および私的生活分野と、政治的・経済的・社会的システムとの相互関連に関する教材や啓発資料を当事者に 向けて作成する必要があります。
 また、当事者がアイデンティティ9を確認できる場や、アイデンティティを確認するために自らを取り巻く 歴史や社会について学べる場、例えば外国籍住民が自国文化に触れることのできる場などがあると良いと思われます。
 そうした当事者向けの人権に関する教育と学習においては、肯定的な側面にも強調点が置かれるべきです。人権 侵害や人権無視の事例ばかりを強調されたら、当事者は無力感や失望感に打ちひしがれる可能性があります。 正確な現状認識をするとともに、明るい展望を持つことが大事で、当事者たちの努力によってもたらされてきた 人権における進歩面や成功例が人権に関する教育において活用されるべきです。本人の頑張りだけを求める のではなく、他者との協働関係や共感してくれる仲間がいることによって乗り越えられたことを中心に据えて 取り組むべきで、否定的な現状認識のみでは、差別を受ける立場にある人々が自分を肯定的に捉えることを 妨げ、エンパワメントの低下をもたらします。
 エンパワメント実践においては、自分が抱える問題を解決したり、自尊感情を高めていくことのできる個人的 レベル、問題を解決していくための他者との協働の取り組みの中で、生きる希望や力を獲得していくことの できる人間関係的レベル、そして、社会構造を変え、人と社会との公正な関係を作っていくことのできる 政治的・経済的・社会的レベルにおける実践がそれぞれ必要です。
 そうした取り組みから、人権施策を地域において、積極的かつ主体的に推進していくような当事者のリーダー を育成・発掘し、市民協働のまちづくりにともに参画することが必要です。


(2)生涯学習の視点で考える人権教育・啓発の推進【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
 子どものころから「人権」についてきちんと教えることが必要ですが、学校教育においては、各学校が 社会科・道徳の時間や総合的な学習の時間に、それぞれの人権課題について独自にカリキュラムを組み 学習している状況です。人権が大切であることは認識されていますが、現場の裁量に任されている部分 が大きく、発達段階に応じて最低限必要な課題を系統的なカリキュラムとして実施するには到っていません。
 就学前には、保護者を含む家庭で人権を学ぶ機会が作られるべきですが、幼稚園・保育園で「人権問題 保護者研修会」を実施している程度です。
 そうしたことから、人権の大切さを自覚できる教育・啓発が、幼少期から一人ひとりの子どもたちに 「人権がある」ことを基本にして、行われることが大切です。

◎課題と施策◎
 次代を担う子どもたちの人権教育が重要です。そして、その子どもたちと関わる大人たちの人権教育が 重要です。家庭教育から学校教育の期間を「人権基礎教育」の期間として、就学前から子どもたちに対する 人権学習を充実する必要があります。学校教育のカリキュラムに「人権学習」を位置付けるとともに、 親自身が偏見を持たず差別しないことを、日常生活を通して子どもに自らの姿を示していくことが重要です。 そのためにも、親子ともに人権感覚が身に付くような学習機会を、機会を捉えて実施すべきです。
 社会教育の期間は、学校教育との連携の上に成り立つ相互補完教育期間と捉え啓発活動を中心にして、さらに 学習を深めたい市民やリカレント教育10のための学習機会を設けるべきです。
 こうした生涯学習の視点に立った人権教育を進めることが、人権意識を身に付けた人材の育成につながります。


(3)人権にかかわりの深い職種での人材育成【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
 市職員や教員を対象とした人権問題研修は実施されていますが、一部を除いて、地域で人権施策を主体的に推進 していくような人材育成にまでは到っていません。福祉施設関係者や企業などに対する研修や人材育成については、 四日市人企連11に対する援助があがっている他には明確な取り組みは見られません。

◎課題と施策◎
 広く市民啓発を行うことも大切ですが、子どもたちの教育に関わる教員、市民生活全般に関わりのある市職員の 人権意識が全体的なものになっておらず、不十分なことが問題であることを踏まえた取り組みが必要です。広く 人権問題を学習し、いろいろな人権問題に取り組む専門家を養成し配置するとともに、地域において、人権施策を 主体的に推進していくリーダーとしての役割を担えるように研修カリキュラムを充実させる必要があります。
 また、地域において、最初に、そして身近に、人権問題に関わる人々である、民生委員や人権擁護委員、児童相談員、 女性相談員などに対する人権研修は不可欠です。
医療関係者、福祉施設関係者、法曹関係者などに対する研修の充実も不可欠です。とりわけ、福祉施設関係者に 対して、人権学習の具体的な教材などが提供されていないため、カリキュラムや学習プログラムと合わせて開発し、 積極的に提供していく必要があります。
 また、企業においては採用時の公正採用の取り組みが行われていますが、従業員を対象にした日常的な職場内研修 は企業によって差があり、企業に意識を持ってもらうために行政から働きかけて人権教育・啓発の充実に努める 必要があります。


(4)人材バンク・人材登録【検討すべき施策】
◎現状◎
 人材の育成が図られても活躍する場が用意されていないために、研修や講演会で得た知識や技能が個人の段階 に留まっています。また、能力をさらに高める機会が設けられていません。

◎課題と施策◎
 研修などを受けてリーダーとなる人材が育成されたら、各地域の会議や研修会、まちづくりなどの具体的取り 組みの推進役として派遣するなど、そのリーダーが地域における人権施策の主体者として活躍できる場を設ける 必要があります。そうした場を設けることによって、さらに能力を高めたり、活かす意欲のある人に対応した 学習機会を設けることも必要となります。
 そうしたリーダーやリーダー候補者またはそのグループを、受講した研修種別や経験年数などによって資格者として登録し、職場や地域・学校などの人権施策を推進する場所及び取り組みの内容や目的にしたがって、そうした人またはグループを派遣 できるシステムを作る必要があります。
 また、当事者の中から育ったリーダーが人権のまちづくりに積極的に参画できるようにし、多くの当事者の エンパワメントにつながることが大事です。



3.教材などの開発と人権学習センターの充実

 教材・カリキュラム・学習プログラムの開発は人づくりを支えていくものです。したがって、人材の育成・ 活用と一体で考えることが必要です。四日市市では、人権に係る多くの教材や資料が教育委員会を中心に作られて おり、市民向けには啓発冊子が全戸配付されています。
 これらは、各地域の「人権・同和教育推進協議会」の団体研修などに利用されていますが、内容は汎用的であり 活用方法マニュアルや学習を補足する資料がなかったりして十分に活用されていないという現状があります。こうした 市民一般を一律対象にした啓発は限界にきており、対象者に応じた内容の教材提供が必要です。
 また、そうした教材を作成し提供する施設として人権学習センターの担う役割が重要ですが、現状では、設置場所・ スタッフ・所蔵資料など多くの面で改善が必要です。単にコスト的な見地からではなく、市行政の直接運営から人権の 課題に関心が高く意欲のある市民や市民グループに運営を委ねていくことも検討すべきです。
 そのために、以下の施策の実施を提言します。
(1)既存教材の活用と対象者別の教材カリキュラムの作成
(2)人権学習センターを充実し多くの市民の集える場所に
 @専門性の高いスタッフの配置
 A気軽に立ち寄れ交流できる雰囲気作り
 B体験学習のできる工夫
 C情報の収集と提供

(1) 既存教材の活用と対象者別の教材カリキュラムの作成 【速やかに実施すべき施策】
◎現状◎
 地域社会づくり担当者を中心に市民向け教材作りが進められています。教員を対象にした参加型学習の研修会も 開かれています。児童生徒向けの学習プログラムづくりが人権教育推進校を対象に進められています。
 しかし、市民に向けてどこにどういう教材があるのかなどのPRがなされていません。

◎課題と施策◎
 対象者を絞り込んで、それぞれの使い手に応じた教材・カリキュラム・学習プログラムを作ることが必要です。そのため には、新しい教材を作るだけでなく優れた既存の教材の使い方マニュアルを作るなどして使い方を再検討し活用する こと、人権意識に大きな影響を与える社会システムや生活環境を変えていくことにつながる視点を持つこと、当事者の 自立に向けたエンパワメントにつながることを念頭において進めるべきです。
 また、人権学習センターを教材作成のための資料を収集し提供していく機関と位置付け、市民向けの教材はここを 中心に当事者及び市民の参加・協働を得て作成することが必要です。そして、市のホームページなどを通じてどういう 教材や資料が用意されているのかを市民に周知すべきです。
 教材・カリキュラム・学習プログラムは作成・使用後に受講者などの追跡調査を行い効果測定・改良を加えることが 必要です。


(2) 人権学習センターを充実し多くの市民の集える場所に
 @専門性の高いスタッフの配置【速やかに実施すべき施策】

◎現状◎
 市人権センター所長が所長を兼務し、市OB嘱託職員と臨時職員の3名体制で、@図書やビデオ教材の貸し出し A部落史などのミニ講座B人権啓発に係る展示C市民参加のイベントなどを実施していますが、専門性や最新情報 の提供といった面では課題が多くあります。

◎課題と施策◎
 専門性の高いものを求めるにはスタッフの充実が重要です。市民から問い合わせがあったとき、情報を求められた ときに、一番適切と思われるアドバイスや資料提供ができるところでなければなりません。各種団体が活動を行政 に頼らず独自で運営するという流れの中で、人権協・同推協12活動のいろんな情報の収集、隣保館・教育集会所 や地区市民センターとの活動の連携、ガイド役、コーディネート役などを果たす機能が求められます。また、行政は、 各種の市民団体が、その機能をさらに充実・発展させていくことができるよう、財政支援などのインフラ整備も含めて、 諸側面から支援していくことが求められます。
 そして、人権学習センターの運営には、人権の諸問題について当事者の意見が反映されるような仕組みを作ることが不可欠です。
 さらには、障害のある人などマイノリティ当事者の仕事保障や仕事創出なども視野に入れて、人権学習センター の運営について検討すべきです。


A気軽に立ち寄れ交流できる雰囲気作り【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
 現在の人権学習センターは気楽に立ち寄れ、交流や相談ができる状況にありません。駐車場が少なく、建物の6階と いう障壁があります。

◎課題と施策◎
 人権学習センターは何をするところなのか、情報発信の基地なのか研究開発の場所なのか、機能・性格付けを はっきりさせる必要があります。
 人権学習センターは、人権関係の市民団体・グループの事務局が集まっている場所であるとか、人権のことを 聞けば分かるし、人権関係の教材や資料も手に入る場所であるとか、人権相談に応じる場所であるとか、 「人権は人権学習センター」がキーワードとなれば、市民も自然に電話や訪問による問い合わせや相談をする など、人権学習センターを活用するようになります。
 市民や当事者グループが気軽に立ち寄って、自由に交流し、自然の内に人権感覚が身に付くような、シンボリック な場所としての空間づくりや活動の内容を検討すべきです。


B体験学習のできる工夫【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
 四日市市には「人権」について「体験」できる「場」が特に設置されていません。

◎課題と施策◎
 無知や無関心が差別や偏見を生み出します。したがって、単に学習教材を提供するのではなく、 人権学習センターへ行けばさまざまな人権課題について見たり聞いたり考えたり体験したりできる場や 機会を作っていくことが必要です。
例えば「車椅子体験」ができたり、外国籍住民が出身地域の文化に触れてアイデンティティを確認できたり、 当事者の人の話が聞けたりといった施設作りを検討すべきです。
 「差別はいけない」と観念的に繰り返すことから、市民一人ひとりが体験を通じて差別を無くすことについて 考えたり、対話したり、実践することへとつながる場を作っていくことが求められます。


C情報の収集と提供【検討すべき施策】
◎現状◎
 情報を提供する前提として市民の人権意識をはじめとする「ニーズ」の把握が不可欠ですが、定期的に実態調査 をするシステムや、どういう情報が必要とされているのか市民の声を聞く機会が設けられていません。
 また、情報の提供にあたっては、最新の情報が必要とする人に届けられているか確認できません。

◎課題と施策◎
 市民の人権意識調査や人権を侵害されやすい立場の人々の実態調査などによる情報収集を定期的に行う必要が あります。また、情報の収集にあたっては、問題を絞り込んで、新しい施策に結びつけたり、施策の推進に 生かすための調査をすることが大切です。
 情報の提供にあたっては、情報を手に入れる条件や手段を持たない人がいることを念頭に、必要な情報が必要 な人に届けられる丁寧さが必要です。例えば、「ホームページ」においても人権に関する情報が一元的に簡単に 入手できるような工夫が必要です。各地区市民センターなどで誰もが情報に接することができるようにしなければ いけません。
 IT時代の情報伝達から考えて、四日市市独自の現状把握や情報以外は、国や各種の研究機関、市民団体などと リンクして、それぞれの機関や団体からの情報を活用できるようにする方が効率的です。そうした情報は人権 学習センターでIT機器を持たない人にも提供すべきです。
 さらに、ゆくゆくは地域公共ネットワークのようなものを作り、学校・図館・地区市民センター・人権学習センター を結んで「eラーニング」13や情報データベース、電子図書館など、IT時代にふさわしい生涯学習の考えに 基づいた改善を検討していくべきです。
 情報の収集と提言にとどまらず、情報と資源の「共有」に向けた体制作りについても検討していく必要があります。


4.人権のまちづくりに向けた諸課題

 バリアフリー14と言うと、今までは段差の解消や手すりの設置など障害のある人たちへの配慮のような取り組み として理解されてきました。しかし、心理的バリアや制度的なバリアが、人々の自分らしく生きる権利や共生の 権利を阻害しているという現状が理解されるようになっています。中でも教育と就労の機会を奪われることが 最大のバリアです。障害者差別禁止法の制定(障害者基本法の改正)がなされようとしていますが、全ての人が 自分らしく生きられ、また人が人とつながり生きるためのバリアフリーが求められています。
 また、グローバリゼーション15の進展に伴い、国内外の差別構造の仕組みが鮮明化している昨今、外国籍住民 の教育や就労の権利や共生の権利が侵害されている状況が深刻化しています。国籍の有無にかかわらず、四日市市 に共に暮らす「地域住民」としての人権施策や人権のまちづくりが求められています。
 そのために、以下の施策の実施を提言します。
(1)バリアフリーのまちづくり
(2)地域での人権のまちづくりに向けた取り組み
@マイノリティの子どもたちの教育を受ける権利を保障する取り組み
A当事者の自己決定を尊重し、自立を支援する取り組み

(1)バリアフリーのまちづくり【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
 道路・公園・学校・住宅などのいわゆるハード面でのバリアフリー工事や視聴覚障害者などに対する 情報提供、外国籍住民に対する生活ガイドブックの発行などの取り組みがあります。

◎課題と施策◎
 これまでの取り組みを止めることなく、高齢者や障害(児)者が自分の意思で自由に行動できるよう、 公共交通手段の「ユニバーサル・デザイン」16による移送の確保・整備を行い、さらに「バリアフリー で人にやさしいまちづくり」を推進する必要があります。そうした目に見える形のバリアフリーの取り組みを、 人々の意識上の障壁や制度上の障壁を取り除くことに広げ、当事者の視点で社会を見直すことが必要です。 困難を抱えた一人ひとりが安心して安全に暮らせる社会は、誰にとっても安心して安全な社会をつくること であり、誰もが もっと住みよくなるというバリアフリーの基本姿勢をもって施策を図っていく 必要があります。


(2)地域での人権のまちづくりに向けた取り組み
@マイノリティの子どもたちの教育を受ける権利を保障する取り組み 【速やかに実施すべき施策】

◎現状◎
 笹川団地のブラジル系住民とのまちづくりを考える中で、かつて「同和地区」において、被差別部落出身の 人々が就学の権利を阻害されてきたのと同じように外国籍の子どもたちの就学の権利が守られない状況が あることが判明しました。ひいては、「一般教室」で学びたい障害のある子どもたちの権利保障につながる 問題であり、外的環境によって子どもたちの学ぶ権利が侵害されることのないような取り組みが求められます。

◎課題と施策◎
 多くのブラジル系住民などの来日目的は収入を得るためであり、コミュニティに参加して馴染む意識が 薄い傾向にあります。その中で、日本の学校制度に馴染めない子どもたちの問題が深刻になっています。 ブラジル系住民などの子どもの生活権と教育を受ける権利を保障しなければいけません。限られた地域 における問題とせず、重要な行政・教育課題としてしっかり見極めて取り組みを行うべきです。
 基本的に、障害のある子どもたちの特別支援教育と共通の課題があり、同和教育で培ったノウハウを 活かしたり、経験の共有がなされるべきです。
 また、学校教育の中でも、生き方の捉え方が多様になってきていることから、画一的な形式的平等 から個々人のニーズに応じて選択できる個別対応の時代にあったやり方を考えなければいけません。


A当事者の自己決定を尊重し、自立を支援する取り組み  【早く取り組むべき施策】
◎現状◎
人々の間に、当事者は周囲の施しといたわりがなければ生活ができず、また、自立できない存在と いう認識があり、そのことが、自分のことは自分で決めるということが人権の基本であるという 理解を阻害しています。

◎課題と施策◎
 例えば障害のある人を対象にした社会参加の取り組みをしていますが、支えてやろうというのが 目に見えて当事者の負担になっているのではないかという懸念があります。当事者に対する、 「支える側、支えられる側」、「世話をする側、世話をされる側」、「管理する側、管理される側」 という認識を変えないと、対等な立場での当事者の参加も増えませんし、マイノリティ当事者主体に よる人権のまちづくりにもなりません。当事者の世話をするというのではなく、当事者と一緒にやる 意識や仕組みを作らないといけません。ソーシャル・インクルージョン17の視点で、当事者に限らず すべての人が行って楽しいとか得をしたと思わないと長続きはしません。
 これまでは本人がどうしたいかよりもどうすれば安全に生活できるかという ような視点でのケアが なされる傾向にありました。高齢者介護や障害者支援の制度が措置から契約に変わる中で、当事者の 自己決定と自立を支援するという発想が不可欠です。その中で、判断能力に不安のある人や自立を妨げ られている人の自立をどうするかが大きな課題です。これは、障害者の問題に限ったことではなく人権 問題全般に言えることです。
 また、当事者自身が、行政依存することなく、自分の立場や権利を自覚し自立するという自助の取り組み を行いつつ、それを周りの人たちが支え合うという共助の関係づくりをするとともに、必要な社会的支援 を公的に行うという公助の仕組みづくりが大切です。



5.人権施策の推進体制

 四日市市では、人権問題に関わって多くの計画や施策が立案されていますが、いわゆる縦割りの弊害から その多くが関連付けられていません。人権問題は多分に複合的であり、市の各審議会・委員会や各種計画 が連携して機能することが大事です。
 「人権教育のための国連10 年四日市市行動計画」の推進は、四日市市人権啓発推進本部を中心にした行政 組織が推進し自ら評価するシステムになっています。しかし、より広い分野の人々による公平で透明性の ある評価の目が必要とされてきています。
 そのために、以下の施策の実施を提言します。
(1)「人権施策推進懇話会(仮称)」を組織し、公平で透明性のある実施プランの策定や実施状況の 点検・検討・見直し・評価の各作業を定期的に行う
(2)行政組織は人権課題に横断的に取り組む

(1) 「人権施策推進懇話会(仮称)」を組織し、実施プランの策定や実施状況の点検・検討・見直し・評価 の各作業を定期的に行う【速やかに実施すべき施策】
◎現状◎
 市の推進する施策を関係者が評価し改善に向けて提言を行うシステムがありません。

◎課題と施策◎
 市は当事者・当事者団体や、市民・市民団体、専門家・学識経験者の参画の もと、公平で透明性の ある施策の企画、推進ならびに評価のための体制を確立することが必要です。最初の段階から関係 する当事者の意見を十分に反映した内容で推進プランを立案し、実施にあたっては対話の中で常に 意見交換をし、修正と見直しを繰り返しながら、相互理解のもとに進めていくことが大切です。
 また、人権のまちづくりを進める上でも同様に、それぞれの地域性を大切にしながら、当事者、 市民、企業、教育関係者、福祉施設関係者、市職員、専門家・学識経験者など全ての人々が関わる 「まちづくり委員会」体制を構築し推進することが必要です。そして、まちづくりの主体的担い手 である市民と、NPO・NGO18を含むさまざまな市民団体が健全に立ち上がっていく条件整備が 不可欠です。市が人権のまちづくりを推進する市民や市民団体の活動を財政的な面も含めたインフラ 整備を支援し積極的に協働していくことが必要です。



(2) 行政組織は人権課題に横断的に取り組む【速やかに実施すべき施策】
◎現状◎
 四日市市行政においては、縦割りで行政施策が講じられるため、無駄や重複をなくした連携の必要性が 感じられます。

◎課題と施策◎
 行政組織は、人権問題を特別な問題とせず、施策の基盤問題として捉える必要があります。施策の企画、 推進、評価にあたっては、これまでのように各課が個別問題に対応していくとともに、横断的につながり を広めていく必要があります。それを実現していくためには、新たな組織の設置も含め、市の進める人権 施策を横断的に指導的に進める機構が必要です。
その上で、事業の重複や不必要な分散を見直して必要な施策に予算と人員を集中させ、効率的で着実な 施策の推進を図っていくべきです。また、行政と市民グループが協働して実施すべき施策や、市民グループ などの取り組みに 委託し援助すべき施策の実施において、予算的措置を行うべきです。
 市の各部課が、「人権施策推進プラン」の策定を通じて、各々の業務を「人権」の視点で連携させる作業 が必要です。市の関係審議会についても連携や意見交換が行えるような仕組みを作る必要があります。 「(仮称)人権施策推進懇話会」において議論されたことを関係審議会での議論に反映させていくとともに、 関係審議会で議論されたことを「(仮称)人権施策推進懇話会」での議論に反映させながら、個別具体的 かつ総合的な視点に立った公平で透明性のある施策の企画、実施、評価へとつなげていく仕組みを作る 必要があります。




【審議経過】
平成15 年10 月30 日平成15 年度第1 回審議会
「よっかいち人権施策推進プラン」について諮問・学識経験委員による基調提案
平成15 年11 月10 日第2回審議会「よっかいち人権施策推進プラン」について審議
平成15 年12 月3 日第3回審議会「よっかいち人権施策推進プラン」について審議
平成16 年1 月9 日第4回審議会「よっかいち人権施策推進プラン」について審議
平成16 年2 月13 日第5回審議会「よっかいち人権施策推進プラン」について審議
平成16 年2 月17 日第6回審議会中間答申の取りまとめ
平成16 年4 月26 日平成16 年度第1回審議会中間答申に対する市民意見について
作業部会について
平成16 年5 月26 日「人づくりのための教材・カリキュラム・学習プログラム部会」@
平成16 年6 月2 日「人権救済につながる人権相談ネットワーク部会」@
平成16 年6 月24 日「地域での人権のまちづくり部会」@
平成16 年6 月30 日「人づくりのための教材・カリキュラム・学習プログラム部会」A
平成16 年7 月7 日「人権救済につながる人権相談ネットワーク部会」A
平成16 年7 月14 日「人づくりのための教材・カリキュラム・学習プログラム部会」B
平成16 年7 月21 日「地域での人権のまちづくり部会」A
平成16 年7 月28 日「人権救済につながる人権相談ネットワーク部会」B
平成16 年8 月4 日「地域での人権のまちづくり部会」B
平成16 年8 月25 日平成16 年度第2回審議会作業部会報告・答申の取りまとめ
平成16 年10 月13 日平成16 年度第3回審議会答申の取りまとめ

【用語解説】
1.マイノリティ:【minority】国家や社会の中で、民族的・文化的・宗教的理由などで機会均等 を阻まれ、他から差別されている人びと。集団。少数者集団。
2.ドメスティック・バイオレンス(DV):【domestic violence】女性が、夫や恋人などの身近 な立場の男性から受ける、様々な暴力行為。肉体的暴力のみならず、言葉の暴力、性的暴力、社会的 暴力(交友の制限など)、物の破壊、経済的暴力(お金を渡さない)なども含めて考える。DV。狭義 には女性から男性への暴力を含めない。
3.アウトリーチ:【outreach】〔広げる・伸びる意〕学習したいという意欲をもっていない人たち に学習の機会を与え,学習に対する要求や行動を誘発しようとする活動。転じて、相談にこられない人 のもとへ出向いて行って相談に応じること。
4.ピアカウンセリング:【peer counseling】〔ピアは仲間,同等の人の意〕同じ職業や障害を 持っているなど,同じ立場にある仲間どうしによって行われるカウンセリング。転じて、相手の立場 になって寄り添って相談を受けること。
5.ワンストップサービス:【one-stop service】1 か所で業種や管轄の異なった複数のサービス利用 や手続きが行えたり、多様な商品が購入できること。転じて、最初に訪れた相談所で相談を聞き対処 してくれるサービス。「たらい回し」をなくすること。
6.ニーズ:【needs】必要。要求。
7.エンパワメント:【empowerment】力をつけること。また,女性が力をつけ,連帯して行動すること によって自分たちの置かれた不利な状況を変えていこうとする考え方。転じて、内なる力を引き出すこと。
8.四日市人権・同和教育研究会:1953 年に教員を中心とする有志によって組織された。学校教育・社会教育 の両面において人権・同和問題の解決に向けた活動を行っている。略称「四同研」。
9.アイデンティティ:【identity】人間学・心理学で,人が時や場面を越えて一個の人格として存在し, 自我の統一をもっていること。転じて、自分らしさ、主体性、帰属意識をいう。
10.リカレント教育:〔リカレント【recurrent】は,循環する意〕一度社会に出た者が,学校やそれに 準ずる教育・訓練機関に戻ることが可能な教育システム。1970年代に経済協力開発機構(OECD)が提唱 した教育概念。
11.四日市人企連:2001 年に四日市市内に事業所を有する企業有志で組織された。四日市人権啓発 企業連絡会。現在、約90 社が加盟している。
12.人権協・同推協:四日市市内の地区市民センター単位で組織された市民活動団体。
人権・同和教育推進協議会と称し、現在22 組織がある。
13.eラーニング:【e learning】ネットワークを活用した教育や研修のこと。利用者はパソコンを 使い,好きなときに学ぶことができ,講師との質疑応答も可能。
アメリカでは多くの企業が社員の教育・研修に活用している。
14.バリアフリー:【barrier free】〔障壁のない意〕建築設計において,段差や仕切りをなくすなど 高齢者や障害者に配慮をすること。転じて、障壁や不便さを無くすること。
15.グローバリゼーション:【globalization】世界的規模に広がること。政治・経済・文化などが 国境を越えて地球規模で拡大することをいう。グローバル化。
16.ユニバーサル・デザイン:【universal design】障害者・高齢者・健常者の区別なしに,すべての 人が使いやすいように製品・建物・環境などをデザインすること。1974 年,アメリカのメースによって 提唱された概念。
17.ソーシャル・インクルージョン:【social inclusion】イギリスやフランスなどのヨーロッパ諸国で 近年の社会福祉の再編にあたって、その基調とされている理念。社会から排除された人々の市民権を回復し、 再び社会に参入することを目標にしており、その実現に向けて公的扶助や職業訓練、就職機会の提供等が 総合的に実施されている。転じて、障害者などを排除せずに迎え入れること。
18.NPO・NGO:NPO 【nonprofit organization】政府・自治体や私企業とは独立した存在として, 市民・民間の支援のもとで社会的な公益活動を行う組織・団体。特定非営利活動法人。市民事業体。 NGO 【nongovernmental organization】
非政府組織。政府間の協定によらずに創立された,民間の国際協力機構。

「四日市市差別を無くすことを目指す審議会」委員名簿
順不同・敬称略平成16 年10 月13 日現在

選出母体 氏名
学識経験委員・同朋大学文学部長教授 尾畑 文正
学識経験委員・近畿大学人権問題研究所 熊本 理抄
四日市市議会議員 笹岡秀太郎
四日市市議会議員 川村 幸康
四日市市人権擁護委員会 石田 静代
四日市市民生委員児童委員協議会連合会 生川 玉雄
四日市市同和対策委員会 山口 昭雄
四日市市同和教育推進協議会等連絡会 木田 冨喜二
MIE チャイルドラインセンター 池田 光子
財団法人四日市国際交流協会 小林 良輔
四日市市男女共同参画推進協議会 高橋 ますみ
四日市市障害者施策推進協議会 山本 征雄
四日市市長寿社会づくり懇話会 樋口 倭子
市民公募 川森 力夫
市民公募 寺尾 亨

問合せ先 四日市市人権・同和政策課 電話 059-354-8293 FAX 059-354-8611
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