感染症の原因となる微生物には、細菌・真菌・ウイルスなどがあります。
発熱・腫れ・下痢などの症状があり、感染症が強く疑われる場合に、その原因となっている菌を特定し、どのような薬剤が効くのかを調べているのが細菌検査室です。
当細菌検査室では、中でも細菌・真菌の検査を中心に行っています。
検査紹介
主な検体
喀痰・鼻腔・咽頭粘液・血液・膿・尿・便など
グラム染色
細菌の大きさは1mmの1/1000ほどで肉眼では見ることができないので、
顕微鏡を用い、細菌を400~1000倍に拡大して見ています。
また、検体を染色(グラム染色)することにより、細菌の有無・菌の形・配列を観察します。細菌は染色性と形態を基に、大きく4種類に分類することが
できます。
- グラム陽性球菌(GPC):紫の球状の菌 (ブドウ球菌・腸球菌など)
- グラム陰性球菌(GNC): 赤い球状の菌 (淋菌・髄膜炎菌など)
- グラム陽性桿菌(GPR): 紫の棒状の菌 (バチルス菌など)
- グラム陰性桿菌(GNR): 赤い棒状の菌 (大腸菌・肺炎桿菌など)




- 菌の形・染色性の違いは、治療をする上でとても大切な情報となります
検査紹介2
培養検査 (菌を増殖させる)
検体を、栄養が豊富に含まれた寒天培地に塗り、37℃の条件で約一晩培養します。
すると菌が増殖して、肉眼でも観察できるような菌の集まり(集落)ができます。
培地にはいろいろな種類があります。
細菌がどのような培地に生えたか、どのような色をしているか、細菌の集落はどのような形をしているかなど色々な情報を得ることができます。
この情報は、後に菌の種類を決めていく上で、大切な情報となります。


検査紹介3
薬剤同定・感受性検査
菌が、ぶどう糖や乳糖を分解することができるか、運動性はあるかなど、
色々な性質を調べることにより、菌の種類を決めることができます。
菌を
分類することにより、その菌はどのような病原性を示すのか、また、
どのよ
うな処理をすればよいのかが、解ってきます。
当院では全自動分析装置を用いて、発育した菌の菌種を決定(細菌同定)し、
どのような薬剤が有効かを調べる検査(薬剤感受性検査)を実施しています。
その結果より、薬剤の有効性・必要量が解り、感染症治療により的確な薬剤を
選択することができます。
おわりに
細菌検査室は、臨床材料からより速く起炎菌を検出し、より的確な薬剤情報を臨床に提供することにより、感染症治療に貢献しています。
的確な薬剤を使用することにより、耐性菌の出現を少なくすることもできます。
また、病院内の耐性菌検出状況など日々のデータを蓄積・解析することにより、院内感染対策にも貢献しています。