「周産期」とは妊娠満22週から生後満7日未満の期間をいい、この時期は母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生しやすい時期を指します。このページでは市立四日市病院の総合周産期母子医療センターとしての取り組みをご紹介します。

母体・胎児部門

 総合周産期母子医療センターとは、MFICU(母体胎児集中治療室)を含む産科病棟及びNICU(新生児集中治療室)を備えた医療機関です。常時、母体・新生児搬送受入体制を有し、母体の救命救急への対応、ハイリスク妊娠に対する医療、高度な新生児医療等を担っています。
 以前より北勢地域周産母子センターに認定されておりましたが、平成25年10月1日付けで三重県から総合周産期母子医療センターの指定を受けました。総合周産期母子センターとして24時間体制で緊急母体搬送の受け入れをしており、現在、MFICU(母体胎児集中治療室)6床、NICU(新生児集中治療室)9床、GCU(新生児回復室)12床を備えて母体新生児の搬送受け入れ体制を有し、22週から37週未満の切迫早産,妊娠高血圧症候群,合併症妊娠等のハイリスク妊娠に対する周産期医療を行っております。
 小児科医と協調して周産期管理、母体搬送の増加と共に帝王切開率が40%前後と上昇しています。当院で取り扱う分娩数は年間約500〜600件です。現在分娩数の制限は行っていません。総合周産期母子センターであるため、40歳を越える高齢初産、糖尿病、甲状腺機能異常、膠原病、血液疾患、喘息、不整脈、100kgを越える肥満といった内科合併症を有する妊婦さんが多いのが特徴です。
 三重県は、周産期医療をゾーン分けしてカバーしており、人口の集中する北勢地区を当院と県立総合、中勢・伊賀地区を三重大学と三重中央、南勢・東紀州地区を伊勢赤十字が担当しております。

イメージ図

新生児部門

 当院の総合周産期母子医療センターは、新生児部門として新生児集中治療室(NICU)9床と新生児回復室(GCU)12床を有しており、超早産児、低出生体重児、呼吸障害などの赤ちゃんを24時間体制で受け入れが可能です。院内出生のみではなく他の医療機関で出生された患者さんも積極的に受け入れています。

設備と技術

 NICUには、人工呼吸器を備えており、患者さんの状態に応じて強制換気モードのほか、高頻度振動換気療法(HFO)、nasal CPAP換気、高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)、神経調節補助換気(NAVA)などの施行が可能です。新生児遷延性肺高血圧症に対しては人工換気療法のみではなく一酸化窒素(NO)吸入療法も行っています。また、重症新生児仮死に対する低体温療法も実施可能です。

新生児ケア

 当センターでは、最新のガイドラインやプロトコールに基づいた医療を提供することで診療の標準化をはかるとともに、診療に伴うリスクを最小限に抑えるよう努めています。
 また、入院中の患者様がより健やかに育つように、入院環境の調整、ポジショニング、処置に伴う痛みの軽減等に配慮しています。ご家族にとって、新しい家族のメンバーが安心して成長できるようサポートしていきます。

連携医療

 当センターは院内の複数の診療科と連携し、専門家が協力することで患者様によりよい医療を提供するよう努めています。関連する診療科が連携することで緊急時や合併症にも迅速な対応が可能です。また、名古屋大学医学部附属病院、三重大学医学部附属病院、あいち小児保健医療総合センターなど、高次医療機関とも緊密に連携しており、当センターでの対応が困難な場合には、これらの医療機関へ迅速かつスムーズにご紹介させていただいています。

家族のサポート

 当センターでは、ご家族へのサポートが不可欠だと考えています。医師、看護師のみではなく、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなど他職種のスタッフとも協力し、ご家族に対してトータルなサポートを行っています。
 また、地域の保健センターの看護師・保健師や訪問看護ステーションとも連携しており、患者さんの状況によっては、退院後もそれらの訪問等により患者さんとご家族のサポートを継続していきます。