皆さん、明けましておめでとうございます。平成26年の仕事始め式にあたり、気を引き締めて、私たち四日市市の職員としての使命や責任を全うしていく、その決意をあらたにしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
さて、昨年、平成25年を振り返ってみますと、国全体からみれば、まず頭に浮かぶのは夏の記録的な猛暑です。高知県四万十市では、41度という観測史上最高の気温を記録しました。また、いわゆる地球温暖化の影響だと思いますが、大型台風や局地的な豪雨など、自然の猛威によって全国各地で様々な被害が発生しました。幸い四日市市では大きな被害はありませんでしたが、このような災害の痛ましいニュースがありました。一方でまた、2020年のオリンピック、パラリンピックが東京で開催されることが決まるという、大変明るいニュースもありました。さらに、富士山が世界遺産に登録されるというニュースもありました。四日市市ではどうであったかというと、十大ニュースの中には入っていませんが、四日市の観光大使として活躍をしていただいているプロゴルファーの川村昌弘選手が、パナソニックオープンという大変大きな大会で、プロデビュー2年目にして初優勝するという偉業を成し遂げてくれました。彼は、試合に行った先のあちこちの会場で、四日市のことをPRしてくれています。四日市市民である私たちにとっても、大変うれしいニュースでした。また、有名な劇画の「ゴルゴ13」の中で、四日市港の末広橋梁が3話連続で舞台となって、そのおかげで、四日市港、あるいは四日市の名前が広くアピールされたのもグッドニュースでした。十大ニュースの中から選んでみると、いろいろなことがありましたが、B-1グランプリで「四日市とんてき」が初めて入賞を果たすという、そんな嬉しいこともありました。また、市立四日市病院の増築、改修工事がようやく完了したというニュースもありました。高度な医療機器も導入し、利便性も高め、北勢地域の中核病院として、その機能を益々充実しながら、市民の皆さんや周辺の住民の皆さんの期待や信頼にこたえていく、そんな役割を果たしていかねばならないと思っています。
それから、私にとっては、忘れられない大きなニュースがありました。それは、内部・八王子線の存続の問題です。17万人を超える皆さんの署名・要望を受けて、担当職員をはじめ、皆さんの粘り強い努力のおかげで、1年半という長い期間を要しましたが、ようやく鉄道という形で、公有民営方式という方式で内部・八王子線を残すことに近鉄さんと合意に達しました。皆さんの頑張りに、あらためて感謝を申し上げたいと思います。当初は、お互いに平行線であったため、なかなか合意点を得るのは難しいのではと感じていましたが、粘り強い交渉の中で、近鉄さんの方にも相当の譲歩をしていただきました。国土交通省の鉄道局長にも途中でアドバイスをいただいたり、相談をしてまいりました。その鉄道局長に結果の報告に行ったところ、「この結果は四日市市さんにとっては、100点、いや120点じゃないですか」と言っていただけるほどの結果でありました。しかし、手放しで喜んでいる訳にはいきません。この内部・八王子線という地方の鉄道をこれからも持続可能な鉄道として残していくためには、大きな課題がいくつか残っています。最大の課題は、この利用者を減らさない、むしろ増やしていくという創意工夫、努力が必要になってくるということです。皆さんにも、是非、この利用者を増やす、利用促進のためのアイデアや意見をどんどん出していただきたい。文字通り内部・八王子線が軌道に乗るように、特に今年が近鉄さんが運営する最後の年になりますから、知恵の出しどころの1年間となります。この辺りを汲んでいただき、皆さんのアイデアを、利用促進のためのアイデアを出していただきたくあらためてお願いいたします。
この内部・八王子線の問題も大きなこれからの課題でありますが、その他にも、四日市には課題が山積しています。まずは、南海トラフの大きな地震や津波への対策、そして最近の大型台風や局地的な豪雨による浸水対策等、自然災害への備えを十分に行い、危機管理体制を万全のものにして、市民の安全・安心を確保することが、我々に課せられた重大な使命であります。その上で、地域経済の活性化ということも大事な課題です。アベノミクスによって、景気の回復が軌道に乗ってきた感じもありますが、まだまだ地方では実感できないという声も多く聞かれます。その上、この4月からは消費税が増税されます。そのことによって景気が影響を受けないように、国の動向も見ながら、この地方の景気、経済を下支えするためにも、四日市として経済政策、景気対策を打っていく必要があります。皆さんもご存知のように、「産業活性化戦略会議」の中に各方面から有識者に入っていただき、大変活発な議論をしていただいています。この3月には、その報告をいただく予定になっていますが、地域経済活性化のための有効な、効果的な産業振興戦略がご報告いただけるものと思っています。その戦略を受けて、四日市市としてできることから始め、平成26年度から具体的に予算もつけて、地域経済がより活性化するように、そして、産業都市としての四日市がより発展するように、政策としてしっかりと取り組んでいく決意です。
他にも、福祉の対策、あるいは教育の充実の問題など、実に様々な課題が横たわっています。このような課題を一つずつ着実に解決していくことが、私たちにとっての大きな使命です。そこで、課題・問題を解決していくにあたって、特に留意をしなければならない視点をあらためて皆さんにお伝えしておきたいと思います。
そもそも、行政が地域課題を解決していくにあたり、やるべき仕事をとことんまで突き詰めていけば、簡単に一言で言えば、結局は「選ぶ」、「選択」するということに集約されると思います。
何故かと言いますと、四日市市も他の自治体も同じでしょうが、限られた予算、そして、多くの様々な条件、制約の中で、どの政策に、どの施策に、どの事業に、あるいは、もっと細かくブレークダウンすれば、どの方法に予算を投入すれば、最も市民全体の利益、言い換えれば、公益が最大となるのか、そのことが選択する際にあたっての判断基準となります。つまり、市民全体の利益、公益性があるかどうか、公益性があるとしてもそれが高いかどうかということです。もはや、あれもこれもできる時代ではありません。厳しい制約の中で、私たちは責任ある行政として、時には大変苦しい判断であっても選択をしていかなければなりません。昨年の例で言うならば、内部・八王子線は存続できましたが、オーストラリア記念館については残念ながら存続できないという結論に達しました。すべての人が満足できるような最高の選択というものはありえません。日々の業務の中では、限られた条件の中で、最善の選択をとるしかないんです。厳しい選択をする際に、公益性ということを基本において、市民のために正しい、間違いのない責任ある行政としての判断をしながら、課題を一つずつ着実に解決していってほしいと思います。以上、課題を解決していく際の留意点について話をしました。
今ある課題・問題を解決の方向に向けて、軌道に乗せていくことが大変重要な私たちの使命ですが、それだけでは市民から負託された仕事を達成できたとは言えません。もう一つ大変重要なテーマがあります。それは四日市の未来を創造するということです。言葉だけではなく、本当に四日市の未来のために、新しい政策や事業を創りだしていく気概、積極性、情熱、そういうものを持ってもらいたいんです。市民の皆さんが四日市の未来に、夢や希望をもっていただけるような、そんな政策やまちづくりの方策を企画・立案してほしいのです。
私は、平成26年を、大変優秀な四日市市職員の知恵や力を結集して、攻めの市政、攻めの行政を大きく前進させる、進化させる、そんな1年にしたいと思っています。言い換えて一言で言えば、「四日市の職員全員がクリエイターであれ!」ということになります。私は、2年前から若手の職員から政策を提案してもらう政策提案制度を設け、2年が経過してかなり活発に意見をもらえるようになりました。この制度は続けていきますが、それと並行してもう一つ、具体的なテーマを設定して、例えば中心市街地の活性化策、あるいは文化力・スポーツ、こういった分野での夢のある政策・事業の提案など、皆さんの声、アイデアを直接、私のところへ届けてもらえるような新しい仕組みも考えていきたいと思っています。若手職員もベテラン職員も、男性職員も女性職員も誰でも結構ですので、遠慮せずにどんどんアイデアを提案してください。そして、私と皆さんが同じ方向を向いて、同じベクトルを共有して、この四日市の新しい時代、新機軸を切り開いていこうではありませんか。そのために、最後にもう1回言います。 「四日市の職員全員がクリエイターであれ!」
皆さんの今年1年の奮闘を期待して、新年にあたっての挨拶とさせていただきます。
|