4 人権文化あふれるまちづくりの実現をめざして

 

   人 権 感 覚 あ ふ れ る 学 校 づ く り

一人ひとりの子どもが、それぞれ違った個性や可能性をもったかけがえのない存在として互いに尊重し、高めあう人間関係を築くとともに、自らの生き方をみつめ、未来を切りひらこうとする意識や行動力を身につけていくことが大切です。
そのためには、人権尊重の精神に貫かれた豊かな感性といじめ問題など身近な生活のなかにある差別や偏見を見抜く力を培い、差別の不合理性や不当性を理解し、仲間とともにあらゆる差別をなくしていこうとする実践力を養うことが大切です。
さらに、自分が自分らしく生きるために、自分自身に誇りをもち、自己実現を図る取り組みが教育活動のあらゆる場面で展開されることが必要です。

このような人権感覚あふれる学校づくりの実現に向け、以下の基本的な考え方に基づいて、人権教育・啓発を推進します。


《人権尊重の教育環境づくり》

(1) 地域の課題と結びついた教育課題を明らかにし、学校教育目標を人権の視点から点検し、子ども一人ひとりがすべての教育活動の場で生かされる学校づくりを進めます。

(2) 一人ひとりの子どもの思いや願いなどを生活のあらゆる場面でとらえていきます。

(3) 互いの違いを認め合い、それぞれの立場を尊重しあう人間関係づくりのなかで、さまざまな人権問題を取り上げ、感性を磨き、自己の生き方につながる学習内容と学習プログラムを作成します。

(4) 自己表現力や自己決定する力を高める学習、地域を学習の場とする調べ活動やフィールドワークなどの実践を取り入れた創造的な学習を展開し、子どもの自己実現を図ります。

(5) 人権尊重の視点で、学校のバリアフリー化を進めるために、学校の運営及び施設等を見直し、改善を図ります。

(6) 子どもやPTAの人権教育・啓発を一層充実させるために、保幼小中高の交流を図り、その推進体制を再構築します。

(7) 教育相談体制の充実を図るため、教育集会所や地区市民センターなどの社会教育機関や、児童相談所や人権擁護委員などの人権擁護機関との連携を一層密にしていきます。

(8) 教職員があらゆる差別を許さない人権意識を身につけ、学校や地域における人権教育推進の担い手としての自覚と力量を高めます。


《地域に開かれた学校づくり》

(1) 開かれた学校づくりを目指すために、積極的な授業公開や外部の指導者の参画などに取り組み、保護者や地域の人が学習の場に参加することを通して、お互いの人権意識の高揚を図ります。

(2) 多くの人との出会いや生き方に触れる活動をとおして、子どもが自己の生き方をみつめ、地域や社会のあり方について考え、そして自分たちどうしのくらしを交流しあう、そんな人権を視点に据えた教科及び総合的な学習を創造します。

(3) 子どもの育成支援や子どもを中心とした教育活動を深めるため、地域の教育力を活用した教育ネットワークづくりを進めます。
   


   人 権 が 尊 重 さ れ る 地 域 づ く り

 すべての人の人権が尊重される社会の創造は人類共通の願いであり、あらゆる差別のない社会の実現がもとめられています。
 そのためには、家庭、地域、職場といったあらゆる場や機会において、市民一人ひとりが主体的に人権教育に参加することや、自主的な市民活動を行うことを通じて、人権感覚を高めることが大切です。
 また、人権尊重の精神に満ちあふれたまちづくりの推進には、私たちの周囲にある差別につながるような因習や価値観を問い直す必要があります。私たちは、ともすると不合理な慣習をよく考えないで受け入れたり、個性を尊重するより横並びの集団に埋没し、多様性を認めないで一元的な尺度で序列づけるといった考え方に慣れています。こうした思考や文化が、人権の確立を妨げることにつながっていることに気づく必要があります。
 
人権尊重の精神を広め人権意識を確立し、くらしのなかに人権が根づいた、人権文化にあふれた社会の実現に向け、以下の基本的な考え方に基づいて人権教育・啓発を推進します。


《人権教育・啓発の環境づくり》

人権意識を日常のすみずみにまで根づかせるため、単に知識を伝えるだけでなく、最新の人権情報や研究成果を取り入れ、市民の関心を呼び起こす、主体的、具体的な行動につなげる学習環境を創造していきます。

(1) 市民の学習用教材を見直し、体験型・参加型の学習プログラムを開発します。

(2) 身近な地域社会のなかで人権に関し指導・助言できる人材の育成と活用を図ります。

(3) 情報提供の目的が達成されるよう啓発媒体の選定や、表現・手法を工夫します。

(4) いろいろな人権相談はそれらが集約されることにより社会的傾向を捉える有効手段であることから、各種相談事業のネットワークを構築し相談機能の充実を図ります。


《人権教育・啓発の場づくり》

すべての人の人権が尊重される社会を実現するために、あらゆる人が、家庭、地域、学校、幼稚園、保育園、職場等あらゆる場や機会において、人権教育を享受できるよう取り組みを進めていきます。

(1) 市民一人ひとりが社会生活のなかで、自ら学習し人権問題に取り組むことのできる機会・場所を提供し、人権問題への取り組みが評価される社会システムづくりを目指します。

(2) 個別の人権問題の課題を有する人及びその関係者が自立し、社会参加していく力をつけられるよう支援します。

(3) 家庭教育は、人権教育の基本であるとの認識から、その役割を担えるよう支援します。

(4) 企業が主体的に人権教育・啓発に取り組み、公正採用や人権意識の高い職場づくりが推進されるように支援します。

(5) 人権にかかわりの深い特定の職業に従事する者が、人権問題の解決を自らの課題として認識し、より積極的な対応が取れるよう人権に関する研修を充実します。

(6) 身近なところに人権教育・啓発の素材を求め、具体的な学習内容を提供していくことにより市民が主体的・継続的に取り組めるよう支援します。

(7) 異なる多様な文化と出会い、偏見や先入観・固定観念を払拭し、互いの価値観や人権を尊重する意識・感性を育てるため交流の場や機会の提供に努めます。


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