○四日市市中小企業・小規模企業振興基本条例
令和7年6月30日
条例第26号
私たちのまち四日市市は、三重県の北部に位置し、西は鈴鹿山脈、東は伊勢湾に面した豊かな自然に恵まれており、古くから「四」のつく日に市が開かれていた商業のまちとして、また交通の要所でもあったことから、東海道の宿場として繁栄してきた。
現在では、臨海部に石油化学コンビナートが、内陸部に半導体産業が立地し、国内有数の産業都市として発展を遂げているが、優れた技術力を有する中小企業・小規模企業が果たす役割は大きく、大企業にとって欠かせない存在である。また、四日市萬古焼、地酒、大矢知そうめんといった地場産業も盛んであり、本市が多種多様な産業構造を有する国内有数の産業都市として、これからも経済発展を遂げていくためには、大企業だけでなく中小企業・小規模企業の発展も必要不可欠である。
そのような中で、令和の新しい時代を迎え、新型コロナウイルス感染症の世界的流行に加え、デジタル化、脱炭素化など社会経済はさらなる大きな変革を求められている。
本市においては、大企業が一定の雇用を支える一方で、地域経済の活性化には、数多くの中小企業・小規模企業が果たす役割が極めて大きいことは言うまでもない。
特に、製造業、商業、サービス業など、多様な分野で活躍する中小企業・小規模企業は、地域の特色を生かした経済活動を展開し、市民にとっての安定した暮らしの基盤を築いており、これらの中小企業・小規模企業は、地域に根ざし、地域社会の活性化、雇用創出、新たな価値の創造に貢献していると言える。
しかしながら、近年の中小企業・小規模企業を取り巻く環境は、原材料コストの上昇、不安定な経済情勢、人手不足や後継者不足など、ますます厳しさを増しており、多くの課題を抱えている。
このような状況の中、中小企業・小規模企業が持続的な成長を遂げ、地域経済の活性化に貢献するためには、市と中小企業・小規模企業をはじめ関係団体が一体となって、より一層の振興策を講じていく必要がある。
本市は今後も中小企業・小規模企業の振興に向けた施策を強化し、市民一人ひとりが実感できる地域経済の発展を目指すため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業・小規模企業(以下「中小企業等」という。)が地域経済の発展に果たす役割の重要性に鑑み、中小企業等の振興に関し、市の責務等を明らかにするとともに、中小企業等振興施策の基本となる事項を定めることにより、地域経済の持続的な発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する中小企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(2) 小規模企業 法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(3) 大企業 中小企業等以外の事業者で、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(4) 経済団体 商工会議所法(昭和28年法律第143号)の規定に基づき設立された商工会議所及び商工会法(昭和35年法律第89号)の規定に基づき設立された商工会であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(5) 労働団体 労働組合であって市内に事務所を有するもの及び労働組合の連合団体であって三重県内に事務所を有するものをいう。
(6) 金融機関 銀行、信用金庫その他の金融業を営む者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。
(7) 学校 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(幼稚園を除く。)であって、市内に所在するものをいう。
(8) 大学等 学校教育法第1条に規定する大学及び研究機関並びに同法第124条に規定する専修学校であって、市内に所在するものをいう。
(9) 市民等 市内に居住する者又は市内に通勤若しくは通学する者をいう。
(基本理念)
第3条 中小企業等の振興は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。
(1) 中小企業等の創意工夫、経営意欲及び自主的な努力を尊重し、成長を図ること。
(2) 特色ある地域資源を積極的に活用し、地域内における経済循環の促進に努め、中小企業等の創業及び育成を図ること。
(3) 中小企業等をはじめ、経済団体、労働団体、大企業、金融機関、学校及び大学等(以下「関係団体」という。)、市民等並びに市がそれぞれの役割、責務等について相互の理解を深め、連携及び協働を図ること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める基本理念にのっとり、中小企業等の的確な実態把握に努め、中小企業等振興施策を総合的に推進するものとする。
2 市は、中小企業等振興施策の推進に当たっては、国、県その他関係機関と連携して取り組むとともに、中小企業等をはじめ関係団体の意見を反映するよう努めるものとする。
3 市は、中小企業等の振興が地域経済の発展及び市民生活の向上において果たす役割の重要性について、市民等の理解を深めるよう努めるものとする。
(議会の責務)
第5条 議会は、市の議決機関として中小企業等の振興に関し、市長の事務執行の監視及び評価並びに政策提言に努めなければならない。
(中小企業等の役割及び努力)
第6条 中小企業等は、基本理念にのっとり、経済的及び社会的な環境の変化に適応し、その事業の持続可能な成長及び発展を図るため、自主的に経営の改善及び経営基盤の強化に努めるものとする。
2 中小企業等は、地域における雇用の創出、人材育成、円滑な事業承継及び意欲的に働き続けることができる労働環境の整備を推進するよう努めるものとする。
3 中小企業等は、地域社会を構成する一員として、地域社会との調和を図り、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。
(大企業の役割)
第7条 大企業は、中小企業等の振興が地域経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、市が実施する中小企業等振興施策に協力するよう努めるものとする。
2 大企業は、地域社会を構成する一員として、社会的責任を認識し、地域経済の持続的発展及び市民生活の向上に寄与するよう努めるものとする。
(経済団体の役割)
第8条 経済団体は、中小企業者等の経営の改善及び経営基盤の強化に対して、主体的かつ積極的に支援するよう努めるものとする。
2 経済団体は、中小企業等の実態を把握し、要望を的確に捉え、事業活動に反映するよう努めるものとする。
3 経済団体は、市が実施する中小企業等振興施策に協力するよう努めるものとする。
(労働団体の役割)
第9条 労働団体は、中小企業等の地域社会及び地域経済に果たす役割の重要性について理解を深め、労働環境の整備、労働者の福利厚生の向上等を通じて、中小企業等の振興に努めるものとする。
(金融機関の役割)
第10条 金融機関は、中小企業等の円滑な資金の調達及び経営の支援その他の必要な協力を行うとともに、中小企業等に対する支援を通じ、地域社会及び地域経済への貢献につなげていくよう努めるものとする。
(学校及び大学等の協力)
第11条 学校は、教育活動を通じ、中小企業等の振興が市民生活の向上に果たす役割への理解を促すとともに、健全な職業観、勤労観及び創業機運の醸成を図り、もって次代を担う人材を育成するよう努めるものとする。
2 大学等は、中小企業等が行う研究及び人材育成に関して協力するよう努めるものとする。
3 学校は、市が実施する中小企業等の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(市民等の理解及び協力)
第12条 市民等は、中小企業等の振興が地域経済の発展及び市民生活の向上に重要な役割を果たしていることを理解し、市が実施する中小企業等振興施策に協力するよう努めるものとする。
(基本方針)
第13条 市は、関係団体との連携を図りながら、第3条に規定する基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき、中小企業、特に経営資源の確保が困難であり、きめ細かな支援が必要な小規模企業者の経営面及び資金面に配慮し、中小企業等の振興に関する施策を講じるものとする。
(1) 中小企業等の経営基盤の強化、事業の変革、創業及び承継を図ること。
(2) 多様な就労形態及び労働環境の維持向上を図ること。
(3) 多様な人材の確保及び人材の育成を図り、就業の機会を提供すること。
(4) 中小企業等及び関係団体の相互連携を促進すること。
(5) 特色ある地域資源を生かした地域内の経済循環を促進すること。
(6) 中小企業等が担う役割の重要性に対する理解及び協力を得ること。
(7) 教育活動を通じ、健全な職業観及び勤労観を醸成すること。
(8) 市内の中小企業等及び産業の魅力を発信すること。
(9) 企業誘致及び企業立地を促進すること。
(10) 災害等による社会経済状況の急激な変化に対応すること。
(中小企業等振興戦略プラン)
第14条 市は、基本方針に基づき、中小企業等振興戦略プラン(以下「戦略プラン」という。)を策定するものとする。
2 戦略プランには、中小企業等の振興を総合的かつ戦略的に行うための目標、施策その他必要な事項を定めるものとする。
3 市は、戦略プランの策定に当たっては、中小企業等その他の関係者の意見を反映するための必要な措置を講ずるものとする。
4 市は、戦略プランを策定したときは、速やかにこれを公表し、周知するものとする。
5 市は、中小企業等を取り巻く環境の変化を勘案し、及び振興施策の効果を検証し、おおむね5年ごとに戦略プランに検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
6 市は、戦略プランに基づく施策の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。
(四日市市中小企業等振興審議会)
第15条 中小企業等の振興に関する重要事項を審議するため、四日市市中小企業等振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、中小企業等の振興の推進に関する事項について、市長に意見を述べることができる。
3 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(財政上の措置)
第16条 市は、中小企業等の振興に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(条例の見直し)
第17条 市長は、この条例の施行から5年を超えない期間ごとに、検証を行い、必要と認めたときは、条例の改正その他の適切な措置を講ずるものとする。
(委任)
第18条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。