総合計画の策定にあたって

1.人口の見通し

日本の将来人口は、国の推計()によると、2005年の1億2,777万人から長期にわたって減り続け、2046年には1億人を下回るとされています。とりわけ高齢化が一層進むものとされており、65歳以上の人口に占める割合(高齢化率)は2005年時点では20.2%でしたが、2035年には33.7%となります。一方、15歳〜64歳の生産年齢人口は、1995年よりすでに減少局面に入っています。

 

一方、本市の人口は、約31万5,000人ですが、今後、全国と同様に、人口減少・少子高齢化の流れが強まるとみられ、それに伴って経済の停滞・縮小なども懸念されます。具体的に、総人口は2015年に約31万7,000人となり、ピークを迎えた後、長期的な減少局面に入るものと推計しております。

また、人口構成の変化も、2005年時点で18.2%であった65歳以上人口の割合は、2035年には29.0%と、総人口の約3割を占めるようになるものと見込まれます。その一方で、生産活動の主な担い手となる、15〜64歳の生産年齢人口の割合は、66.7%(2005年)から59.7%(2035年)まで低下すると見込まれています。このほか、本市の将来を担う15歳未満の年少人口の割合も、15.1%(2005年)から11.3%(2035年)まで低下するものと見込まれています。

 

このように、本市では今後、人口面で大きな変化が生じるなかで、都市としての活力を維持・向上させていくためには、日本のほぼ中央に位置し、近畿・北陸・東海へ開かれているという地理的な優位性を存分に生かし、ビジネスや観光などを通じて他の地域や海外からこれまで以上の人を呼び込み、交流人口の増加等によってまちの賑わいをつくり出していくことが必要です。

さらに、産業再生や産業立地を通じて雇用を維持・創出し、住みやすいまちづくりに向けた取り組みと一体となって、定住人口の増加を目指すことも肝要と考えております。

 

※国立社会保障・人口問題研究所の出生中位推計(2006年)

2.経済の見通し

世界経済の動向は、2008年の世界同時不況から先進国が緩やかに回復を続ける中、アジアを中心とする新興国が著しい経済発展を遂げつつあり、全体として金融危機以前の成長率に向けて徐々に回復していくであろうと予測されています。こうした中で、日本経済も緩やかながらも、徐々に安定した成長軌道に回復するとの見通しがなされています。しかし、今後10年間の経済成長率は平均して1%台にとどまると見込まれ、海外への輸出と国内の需要創出の双方を合わせた経済成長が必要であるとの指摘がなされています。

 

本市は、お茶や近郊野菜などに代表される第1次産業、製造業を中心とした第2次産業、大型小売店や運輸・物流などの第3次産業と、多様な産業が集積している特徴ある地域です。なかでもその中心は、石油化学や輸送用機械、電子部品・デバイスなどの製造業であり、まさに、本市は日本のものづくり産業を支える中部圏の中で極めて重要な役割を担っていると言えます。

 

本市臨海部の工業地帯には、わが国でも有数の規模を誇る石油化学産業が集積しているうえ、四日市コンビナートからおよそ1時間圏内には、自動車関連や液晶・半導体関連など、国際競争力の高いグローバル企業が多数立地しています。このように、川上の素材・部材産業と川下の加工組立産業が地理的に隣接したロケーションにあることによって、当地域はイノベーションや生産性の向上が促進されやすい恵まれた環境にあると言えます。

 

こうしたなか、最近では、既存の企業が研究開発機能を当地域に集積させるケースや、新規立地に際して研究開発機能を併設するケースなどが増加しています。また、公共施設や商業施設が集積していることから、来街者を呼び込む施策を積極的に展開することで、活気あふれるまちづくりを進めることが必要です。

 

今後、中核的な労働力であり、消費、並びに納税の中心である生産年齢人口の減少が予想されていることから、産業構造をより一層付加価値の高いものに進化させ、就労の場としての魅力をより一層増進することで、本市における経済成長の可能性を高めていくことも肝要と考えております。