四日市市土地開発公社の所有地に関する調査

(案)この調査は四日市市議会「市外郭団体審議会」に報告したものです。


 四日市市土地開発公社は【公有地の拡大の推進に関する法律】に基づいて昭和

48年12月に設立された四日市市の外郭団体です。土地開発公社の業務は次の

2点に大別されます。



@ 依頼事業・・・・市からの依頼に基づいて教育や福祉、道路建設及び土地区

  画整理事業等の公共事業に必要とする土地を事業に先立って取得する業務

A プロパー事業・・・・工業団地や住宅団地を造成する業務です。独自の事業

  ですが、これも市からの依頼に基づいて行われます。



 土地開発公社では現在まで公園や道路用地等の先行取得や南部工業団地、食

品加工団地の造成などを行い本市の発展に大きく貢献してきました。

 しかし近年、経済状況は大きく変化し先行取得した土地の中で活用できない

土地や造成後も売却できない工業用地を抱える事となりました。

 この調査はこの様な土地開発公社の土地取得の状況を調査し市民の皆さんに

明らかにした上で売却処分や転用などの利活用を図り、もって四日市市土地開

発公社の健全な運営を図ることを目的として行ったものです。

 平成12年3月31日現在の四日市市土地開発公社の保有用地は1,148,151

u、帳簿上の価格は約373億円です。

所有地の状況



 市からの依頼事業(42事業)と公社プロパー事業(6事業)において事業用地と

して取得した土地について



@ 事業の用に供している土地

A 事業の用に供していない土地

  ・確実な事業計画がある土地

  ・計画はあるが進捗が未定である土地(現在、いつ事業が開始されるか未定である土地)

B 事業が廃止された土地に分類した。

代替地については事業用地を取得する時に土地所有者から代わりの土地を求められた

際渡すものとして予め用意しておく土地です。代替地は次のように分類しました。

@ 取得当初の目的のとおり活用が可能である土地

A 当初の目的には活用が困難な土地に分類した。

依頼事業と公社事業


@依頼事業においては、活用が可能な土地は代替地と合わせて全体の約44%、

 一方進捗が未定である土地は約27%、事業が廃止された土地及び活用の目

 処の無い代替地は約29%です。

Aプロパー事業は、活用が可能な土地は全体の約46%、一方進捗が未定であ

 る事業用地、計画が廃止された事業用地及び活用の目処の立たない代替地で

 全体の約54%を占めています。

公社依頼事業土地分類グラフ
プロパー事業土地分類グラフ


不用な土地の差損
 土地開発公社は、土地を取得する際に基本的には銀行からの借り入れによっ て賄われています。帳簿価格とは土地取得額に年ごとの利息が加わったもので す。近年の土地価格はバブルの崩壊以来下落の傾向にあります。従って、事業 計画をたて土地を取得したものの計画変更により事業が廃止された土地や売却 可能な代替地について平成11年時点での標準的な土地価格と現在の帳簿価格と の差を調べると次のようになります。
市からの依頼事業における差損


 当初の土地取得額に金利が加わったことや土地価格の下落により、市依頼事業

で約27億円、公社プロパー事業で約85億円の差損が生じていることになりま

す。四日市市及び四日市市土地開発公社は、市が買戻しするべき土地は買戻し、

事業用地として活用する土地は活用の計画を明確にし、売却するべき土地は売却

し、保有するべき土地は保有するという健全経営に向けての計画を作らなければ

なりません。



土地取得についての調査結果
 四日市市土地開発公社の健全な経営を図るためには何故この様な差損を生じ たのか、何故市の事業や公社のプロパー事業に活用できない土地が生じたのか を調査しなければなりません。市では個々の事業について土地取得の経緯や現 況の調査を実施し評価しました。その結果を次にしめします。  評価には次のような分類を行いました。  ・土地取得が事務的に適正に処理されているもの(A)    Aに該当する事業又は土地のうち行政上の課題を有するものについて   はA’と記した。  ・取得に際して手続上の不備があるもの(B)    依頼事業について評価分類によりまとめた表は下表のとおりです。
依頼事業における評価ごとの帳簿価格
プロパー事業における評価ごとの土地面積



市依頼事業及び公社プロパー事業における行政課題については下記のとおり

である。

@ 市依頼事業における計画的な買戻しと買戻された事業用地の管理主体

 南垂坂公園や桜運動広場など現に事業目的に沿って事業が完成し供用され

 ている土地については、市は公社から計画的な買戻しを必要とします。

A 土地区画整理における種地確保の時期と保留地の処分

 東橋北及び富田地区において土地区画整理事業が中止になり先に取得した

 減歩緩和のための種地が当初の目的には活用できない状態になっています。

 土地区画整理事業における減歩緩和のための種地の取得においてA調査、B

 調査、都市計画決定いずれの時期にどれ位確保しておくべきか決めておく必

 要があります。

 保留地は他事業の住宅地の代替地として有効ですが、ある程度売却の見通し

 を持って取得すべきです。

B 取得当初の目的には活用が困難な土地の有効利用(売却も含め)

 取得当初の目的には活用できず売却可能となっている土地については売却

 するか別途の目的に活用するか検討を必要とします。

C 市及び公社職員の経営感覚

 安島児童公園用地は市民公園が近くにできたため建設が中止された土地で

 すが、土地を長期にわたり保有することは今日の経済情勢下では公社経営に

 大きな支障となります。常に経済の情勢を的確に把握し、適正な業務の推進

 に努めなければなりません。

D 計画の具体性と先行取得

 鈴鹿山麓研究学園都市の2期工区(代替地を含む)や第1勧業銀行跡地など

 計画に具体性のないまま取得している土地があります。先行取得のメリット

 が大きく減少した今日、確実な具体性を持って土地を取得しなければなりま

 せん。

E 県、国関係の依頼に基づく先行取得

 北勢バイパスや東海環状自動車道用地など出来るだけ早く本市で供用開始

 ができるよう市において道路用地を先に取得しておく場合があります。この

 場合、残地が生じます。同じ行政機関として極力残地を生じないよう事前の

 十分な調整と明確な文書による依頼が必要です。

F 事業目的の明確化

 用地取得の際に所有者から代わりの土地を求められる場合があります。この

 ような所有者のご要望に応えるため事前にある程度の土地を持っておくこと

 は大切な事ですが、いろいろな目的にも活用できるとの判断で用地取得を行

 う場合は、その旨が土地取得手続きの中で一貫して顕れ審査できるようにし

 ておかなければなりません。

G 売却を含めた活用可能土地のリスト作製

 土地開発公社は現在たくさんの活用できない土地を保有しています。このよ

 うな土地は一括してリストを作製し、全庁的視野で所有する土地の活用に努

 める必要があります。さらに県を始め土地を必要とする関係機関にもこのよ

 うな情報が伝わる方策を検討しなければなりません。

H 土地取得における境界確定

 鈴鹿山麓研究学園都市事業や新保々工業団地用地などで境界を確認しない

 まま公簿によって土地取得を行っている場合があります。土地取得の際は境

 界を確定することは必要です。特に代替地については、後で売却するため境

 界の確定は不可欠です。



 これらの課題については公社のみならず市全体の課題として捉え、関係各部

局で十分に協議し、改善の方策を見出す必要があります。



 また、市依頼事業、プロパー事業それぞれに手続上の不備がみられる。

手続上の不備については下記のとおりです。

@ 安島土地区画整理事業(依頼事業)

 土地区画整理事業において移転補償費のみを四日市市土地開発公社に依頼し

 たもので、土地の売買を伴わない事業は公有地拡大推進法の範囲を超えるも

 のです。

A 近鉄桜駅前広場用地(依頼事業)

 市から桜駅前における広場用地の取得を依頼されたものですが、駅前は農地

 であったところからこの事業には代替地が必要との公社の判断で同地区の農

 地を取得したものです。市から依頼された事業ではどのような場合でも市の

 了解が必要です。

B ハイテク工業団地用地(プロパー事業)

 統一した売買価格の設定がなされましたが、早期に全計画用地を取得しなけ

 ればならない絶対的な制約のため契約上の問題を起こしました。

C 新保々工業団地用地(プロパー事業)

 当初の20ヘクタールの工業団地計画では市から正式に依頼されています。現在の43

 ヘクタールに計画区域を拡大した際に、市からの依頼文書がありません。プロパー

 事業でも市から文書による正式な依頼が必要です。

D 新規住宅用地(プロパー事業)

 公社理事会においては調査、測量、ボーリング及び基本計画の策定まで理事

 会の承認を得ています。しかし市からの依頼文書そのものは欠落しています。

E 笹川南住宅用地(プロパー事業)

 土地取得においては総金額による依頼であり、土地の条件や形状に従った価

 格等の記載がありません。常に公正を期すため算定の根拠は明確にしておか

 なければなりません。



 以上のような手続上の不備がみられました。

不備が起こった原因と今後の対策について、市から土地開発公社への手続きの

あり方、土地開発公社の理事会や監査のあり方など幅広く検討を加え、改善を

目指す決意でいます。