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2006 YOKKAICHI
人権・同和教育シリーズ
「認知症」を正しく理解しましょう

 「認知症」とは、従来から一般的に使用されてきた「痴呆(ちほう)」に替わる新しい用語です。この「痴呆(ちほう)」という用語については、次のような問題点が指摘されるようになりました。
 まず、侮辱的な意味合いのある表現であり、人に対する尊厳の保持や、いたわりを欠く表現であることから、「痴呆(ちほう)」と呼ばれることにより、本人や家族の心が傷つけられる場面が生じることがあります。
 また、「痴呆(ちほう)」という言葉は、病気そのものを正しく表現していません。「痴呆(ちほう)」になると、一般的に何もわからなくなってしまうというイメージでとらえられている場合があります。そのため、この表現が、恐怖心や恥ずかしさをひきおこし、本人が診断や治療を拒否するといった問題も考えられます。
 これらのことから国では、国民や学会などから意見募集をしながら、「痴呆(ちほう)」に替わる新しい用語を検討した結果、平成16年12月に「認知症」と決定し、以後、関係機関やマスコミなどの表記もすべて「認知症」に変更されています。
 このように、差別的な表現を改めることはもちろん重要なことです。しかし、「認知症」は特別なことではなく、成人に起こる知能障害で、もともと備えられていた知的・精神機能が低下し、日常生活に支障をきたした状態のことをいい、誰もがかかる可能性のある身近な病気です。おおむね65歳ごろから多くなり、85歳以上では4人に1人がかかる病気と言われています。また、40歳代から50歳代にも発症する若年期認知症も大きな問題となっています。この「認知症」の予防や治療といった対策は、早急に取り組まれるべき課題です。
 私たち一人ひとりが「認知症」についての実態を正しく理解し、誤解や偏見をなくすとともに、認知症の人の人権を守り尊重しながら、みんなで支えあう、安心して生涯を過ごせる地域社会を目指すことが大切なことではないでしょうか。

担当:保健センター
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