HOME >> 人権・同和教育シリーズ 2004/9月上旬
2003 YOKKAICHI
人権・同和教育シリーズ
長寿社会を共に生きる

 「大事なものを隠したと非難されて困っています」
 「勝手に出歩くので事故が心配です」
 これは、共に痴呆(ちほう)の高齢者を介護する人からのお話です。誰しも老いを迎えれば、物忘れをするようになったり、体が思うようにならなくなったりするものです。また、小さな出来事が心身全体に大きな影響を及ぼすようにもなります。さらに、痴呆(ちほう)になると妄想(もうそう)や徘徊(はいかい)がみられることが多く、これが介護者を悩ませます。
 妄想(もうそう)の表れ方は人さまざまですが、「仕事熱心で負けず嫌い、何でも自分で決めてきた」という人に顕著であると言われています。これは、自分中心の関係や立場が逆転する状況におかれた不安が病として表れたものです。徘徊(はいかい)は、自分が置かれた環境になじめず、安心できる場所や時代に帰ろうとするときにみられるようです。
 このような痴呆(ちほう)の症状は、多くの場合、介護者が痴呆(ちほう)の高齢者を受容し、その人格を尊重することにより改善します。また、「介護をしていると、自分が見失っていた純粋なものを感じることがある」という話を介護者から聞きます。意思の疎通が思うようにいかない状況にあっても、お互いが思いを相手に伝え、心を動かすこともできるのです。
 私たちは、老いや病などを遠ざけて、都合のよいものにだけ目を向けるのではなく、それらを自分自身の問題としてとらえることが大切です。高齢者や痴呆(ちほう)を病んだ人が、私たちと共に生きていることを実感できる社会であってこそ、人権の確立した暮らしやすい社会と言えるのではないでしょうか。

担当:介護・高齢福祉課
Copyright(C) 2003 Yokkaichi City All rights reserved.