HOME >> 人権・同和教育シリーズ 2003/9月上旬
2003 YOKKAICHI
人権・同和教育シリーズ担当:介護・高齢福祉課
人として理解しあい、尊重しあえる社会づくりを目指して

 先日、窓口に来られた高齢者の方が、こんなお話をされました。「私が自宅のトイレを使うと、孫が『臭い!』と言って嫌がるもんで、毎日、近所の公衆トイレを使っておるんやわ」。最近テレビなどで、高齢者の人権が著しく侵害されているという報道をよく耳にしますが、これは、その一例に過ぎません。中でも気になるのが、家族などによる「身体的暴力」「言葉による暴力や無視」「世話の放棄や拒否」などといった、いわゆる〈虐待(ぎゃくたい)〉が年々増加傾向にあるということです。この虐待は、さまざまな要因が絡み合って起こるとされていますが、主に介護をする側の精神的負担によるストレス、親子・夫婦などで介護をする側とされる側の家族関係の悪化、介護に対する知識や痴呆(ちほう)に対する理解の無さが引き金となっているようです。また、虐待を受けている高齢者の状態としては、寝たきりで体の自由が利かないことから我慢をしたり、あるいは痴呆があって虐待を受けても虐待と理解することができないといった場合が多いようです。
 この虐待を無くしていくためには、介護サービスにより介護者の負担を軽減すること、あるいは、介護指導や相談など介護者を支援する体制づくりを強化することが求められています。しかし、最も大切なことは、私たちの心の中にある「高齢者=弱者、やっかい者」という高齢者に対する意識や偏見を考え直すことではないでしょうか。
 人間は誰しも長く生きれば、肉体的にも衰え、判断能力が鈍くなることもあります。しかし、高齢者の持つ豊富な知識や経験が、これからの活力に満ちた長寿社会づくりのためには極めて重要になります。
 私たちにできること、それは高齢者の生き方や高齢社会のあり方を自分自身の問題としてとらえるとともに、高齢者を正しく理解し、つながりあっていくことではないでしょうか。
 高齢者から「長生きしすぎた」と寂しく重い言葉を聞かないためにも、お互いに理解を深め、尊重し合い、支えあうことのできる社会を目指したいものです。
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