HOME >> 人権・同和教育シリーズ 2002/9月上旬
人権・同和教育シリーズ
痴ほうになっても安心して暮らせる社会を目指して
 脳は人が日常生活をする上で大変重要な役割を果たしていますが、年齢を重ねることで脳の働きが少しずつ衰えていく病気が痴ほうです。痴ほうになると、物事に対する理解・判断などの脳の働きがうまくいかなくなり、初めは物事への関心がなくなる、ぼんやりすることが多くなるといった症状が見られるようになり、次第に火や電気を消し忘れ、家族の顔が分からなくなる、着替えが1人でできなくなるといった、日常生活に差し障りが出る重い症状に発展していきます。ただ、急に重くなる痴ほうもありますが、ほとんどの場合、数年かかって少しずつ悪くなっていきます。
 今までは痴ほうは治らないと思われがちでしたが、ほかの病気と同じように早く見つければ、回復できたり、進行を遅らせることができることがわかってきました。これは痴ほうを取り巻く状況の進歩と言えますが、私たちの意識は進歩しているでしょうか。今では痴ほうの人も介護保険サービスを利用するなどして、外出の機会を持つことも多くなっていますが、以前は「世間に恥ずかしい」からと家に閉じ込められてしまうこともありました。では、この意識は完全になくなったのでしょうか。世間とは私たち一人ひとりのことです。私たちの心の中に痴ほうや障害のある人々に対する誤解や偏見が残っていないでしょうか。この誤解や偏見がいつまでも「世間に恥ずかしい」との意識を残しているのです。
 現在全国で65歳以上の高齢者の4.8%が痴ほうになっているという国の報告もあり、今後はこの割合が増えると考えられています。私たちは周りに痴ほうや障害のある人がいるからといって構えることなく、痴ほうや障害について正しく理解し、お互いに尊重し合って共に幸せに生きる社会を目指したいものです。
(今回は、介護・高齢福祉課が担当しました。)
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